結論
県庁所在地の盛岡市が価格トップで、紫波郡矢巾町(-10.1%、有意差なし)を除けば滝沢市(-25.3%)・宮古市(-29.7%)と続きます。価格推移では2013年に95.5まで下落した後、2014年以降は緩やかな上昇局面に入り、2021年からは統計的に有意な上昇が続き、2025年には123.7まで達しました。県内価格差は盛岡市と和賀郡西和賀町で11.6倍と、これまでのシリーズでも屈指の大きさです。
岩手県 市区町村別 価格ランキング(戸建て)
同じ延床面積・土地面積・築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・6,739件の実取引データを回帰分析しました。基準=盛岡市)。
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| 順位 | 市区町村 | 価格水準 | n |
|---|---|---|---|
| 1 | 盛岡市(基準) | 0.0% | 2333 |
| 2 | 紫波郡矢巾町 | -10.1%(n.s.) | 192 |
| 3 | 九戸郡軽米町 | -11.5%(n.s.) | 24 |
| 4 | 滝沢市 | -25.3% | 433 |
| 5 | 紫波郡紫波町 | -29.2% | 212 |
| 6 | 宮古市 | -29.7% | 209 |
| 7 | 北上市 | -38.2% | 525 |
| 8 | 上閉伊郡大槌町 | -45.5% | 48 |
| 9 | 釜石市 | -46.7% | 170 |
| 10 | 岩手郡岩手町 | -47.3% | 25 |
| 11 | 大船渡市 | -47.5% | 117 |
| 12 | 花巻市 | -47.6% | 524 |
| 13 | 胆沢郡金ケ崎町 | -47.9% | 64 |
| 14 | 一関市 | -50.6% | 445 |
| 15 | 西磐井郡平泉町 | -52.3% | 23 |
| 16 | 陸前高田市 | -55.0% | 48 |
| 17 | 久慈市 | -55.2% | 152 |
| 18 | 遠野市 | -55.5% | 120 |
| 19 | 岩手郡雫石町 | -56.0% | 59 |
| 20 | 奥州市 | -56.3% | 627 |
| 21 | 二戸市 | -58.9% | 69 |
| 22 | 八幡平市 | -67.1% | 152 |
| 23 | 下閉伊郡山田町 | -68.5% | 35 |
| 24 | その他 | -68.6% | 53 |
| 25 | 九戸郡洋野町 | -71.8% | 27 |
| 26 | 二戸郡一戸町 | -73.9% | 38 |
| 27 | 和賀郡西和賀町 | -91.4% | 15 |
紫波郡矢巾町・九戸郡軽米町の2地区のみ盛岡市との価格差が統計的に有意ではありません(n.s.)。それ以外はすべてp<0.05以下で有意です。
具体的に「延床120m²・土地200m²・築15年」で試算すると:
盛岡市と西和賀町を比べると、同じ広さの家で11.6倍の価格差がつきます。
岩手県全体の価格推移:2014年以降、緩やかな上昇が続く
同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、県全体・戸建て)。
2007年を100とすると、2013年までは横ばい〜やや下落気味に推移し、2013年の95.5が19年間で最も低い水準でした。その後は2014年から緩やかな上昇局面に入り、2021年以降は統計的に有意な上昇が続いています。2025年には123.7とピークをつけ、2026年も121.1という高水準を維持しています。宮古市・釜石市・大船渡市・陸前高田市のような三陸沿岸部では2011年の東日本大震災からの復興関連需要が影響した可能性がありますが、本データだけで明確な因果関係を特定することはできません。
データから分かったこと
盛岡市が突出したのは、東北新幹線が停車する県内唯一の大都市としての求心力の表れと考えられます。紫波郡矢巾町(-10.1%、有意差なし)を除けば、盛岡市を明確に上回る自治体はありませんでした。
県内価格差11.6倍は、これまでのシリーズでも屈指の大きさでした。広大な県土を持つ岩手県は、盛岡都市圏と中山間地域・沿岸部との価格差が特に大きく開いている点が特徴的です。
2014年以降の緩やかな上昇は、宮城県・福島県・青森県に続く東北地方の共通トレンドの一部と言えます。いずれの県も直近数年で明確な上昇局面が見られており、東北地方全体の底堅い住宅需要がうかがえます。
FIRE目線で一言
盛岡市中心部での住宅費を抑えたいなら、紫波郡矢巾町・滝沢市のような近郊エリアが現実的な選択肢です。中山間地域まで視野を広げれば、非常に手頃な価格で広い土地を確保できる可能性があります。
2014年以降の上昇トレンドが今後も続くかは、東北地方全体の動向とあわせて注目したいところです。
この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、戸建て(宅地(土地と建物))取引を対象に、延床面積・土地面積・築年数・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、6,739件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(10,802件)を重み付けなしで、それぞれ別の回帰モデルで算出しました(決定係数R²はそれぞれ0.57、0.56)。盛岡市はまだ区制を敷いていないため、市全体を1つの単位としてランキングしています。