和歌山県の住宅価格を調べてみた
FIRE移住研究 第40回

和歌山県の住宅価格を調べてみた
— 和歌山市が高水準を維持、県全体は19年間ほぼ横ばい —

第40回は和歌山県です。マンションは和歌山市中心に8自治体だが、戸建てなら30自治体と対象がより広いため、戸建てでランキングします。近畿地方は大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・滋賀県に続く6県目の分析です。

本記事は不動産情報ライブラリ(国土交通省)の公開データに基づく試算であり、投資助言や特定物件の推奨ではありません。想定条件を変えると結果は変わります。

結論

県庁所在地の和歌山市が価格トップで、新宮市(+5.1%、有意差なし)を除けば田辺市(-11.0%)・岩出市(-20.7%)と続きます。価格推移では19年間を通じてほぼ横ばい圏で推移し、統計的に有意な変動が少ないのが特徴です。2019年に88.2まで下落する局面もありましたが、2026年は90.6(有意差なし)です。県内価格差は和歌山市と西牟婁郡すさみ町で3.8倍と、シリーズの中でも小さい部類でした。

和歌山県 市区町村別 価格ランキング(戸建て)

同じ延床面積・土地面積・築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・7,373件の実取引データを回帰分析しました。基準=和歌山市)。

-80% -60% -40% -20% 0% 和歌山市(基準) 0.0% n=3,780 田辺市 -11.0% n=384 岩出市 -20.7% n=490 海南市 -27.3% n=267 橋本市 -38.2% n=512 紀の川市 -39.9% n=423 有田市 -50.8% n=71 御坊市 -54.7% n=96 東牟婁郡串本町 -60.4% n=100 西牟婁郡すさみ町 -73.5% n=21
和歌山市より安い(統計的に有意)
全26地区のランキングを見る
順位市区町村価格水準n
1新宮市+5.1%(n.s.)228
2和歌山市(基準)0.0%3780
3田辺市-11.0%384
4岩出市-20.7%490
5西牟婁郡白浜町-24.9%239
6海南市-27.3%267
7西牟婁郡上富田町-27.9%120
8橋本市-38.2%512
9紀の川市-39.9%423
10伊都郡かつらぎ町-43.6%61
11東牟婁郡那智勝浦町-44.2%114
12日高郡印南町-45.6%47
13日高郡日高町-46.3%39
14有田郡有田川町-46.8%90
15日高郡みなべ町-47.0%40
16東牟婁郡太地町-47.6%24
17有田市-50.8%71
18御坊市-54.7%96
19日高郡日高川町-55.0%27
20有田郡広川町-55.6%29
21日高郡由良町-60.2%43
22東牟婁郡串本町-60.4%100
23日高郡美浜町-62.0%59
24有田郡湯浅町-67.8%39
25西牟婁郡すさみ町-73.5%21
26その他-75.9%30

新宮市のみ和歌山市との価格差が統計的に有意ではありません(n.s.)。それ以外はすべてp<0.05以下で有意です。

具体的に「延床120m²・土地200m²・築15年」で試算すると:

和歌山市
約2,380万円
田辺市
約2,118万円
西牟婁郡すさみ町
約630万円

和歌山市とすさみ町を比べると、同じ広さの家で3.8倍の価格差がつきます。

和歌山県全体の価格推移:19年間ほぼ横ばい

同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、県全体・戸建て)。

80 100 120 140 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2026 100 88.2 90.6(n.s.)
19年間ほぼ横ばい、一部の年のみ有意な下落

2007年を100とすると、19年間を通じてほぼ横ばい圏で推移しました。2018〜2020年と2025年に統計的に有意な下落が見られたものの、2019年の88.2が最も低い水準で、それ以外は2007年との差が有意ではない年がほとんどです。2026年も90.6で、2007年との差は統計的に有意ではありません。これまで見てきた多くの県と異なり、和歌山県は上昇・下落いずれの方向にも明確なトレンドを持たない、値動きの小さい安定市場という特徴が際立ちます。

データから分かったこと

和歌山市が価格トップとなったのは、県内唯一の大都市であり、大阪府への通勤圏としての需要も併せ持つためと考えられます。新宮市(+5.1%、有意差なし)を除けば、和歌山市を明確に上回る自治体はありませんでした。

19年間ほぼ横ばいという値動きは、これまでのシリーズの中でも特に振れ幅の小さいパターンでした。山口県も同様の安定市場でしたが、和歌山県はさらに変動が小さく、県全体として価格が長期的に落ち着いていることがうかがえます。

県内価格差は3.8倍で、シリーズの中でも最小級の水準でした。紀伊半島南部の東牟婁郡・西牟婁郡エリア(串本町・すさみ町など)が下位に集中しています。

FIRE目線で一言

POINT

和歌山市中心部での住宅費を抑えたいなら、岩出市・海南市のような近郊都市が選択肢になります。紀伊半島南部の海沿いエリアまで視野を広げれば、より手頃な価格で海の暮らしを楽しめます。

19年間の値動きが小さいという特徴は、価格変動リスクを抑えて長期保有を考える場合には安心材料になります。

和歌山県の物件、実際の適正価格は?全国住宅AI査定で試算できます。
今すぐ試算する →
次回は青森県を見てみます。
FIRE移住研究㊶ を読む →

この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、戸建て(宅地(土地と建物))取引を対象に、延床面積・土地面積・築年数・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、7,373件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(12,238件)を重み付けなしで、それぞれ別の回帰モデルで算出しました(決定係数R²はそれぞれ0.63、0.63)。和歌山市はまだ区制を敷いていないため、市全体を1つの単位としてランキングしています。

← FIRE移住研究 記事一覧に戻る