三重県の住宅価格を調べてみた
FIRE移住研究 第37回

三重県の住宅価格を調べてみた
— 名古屋近接の北勢エリアが、県庁所在地の津市を大きく上回る —

第37回は三重県です。マンションは四日市市中心に13自治体だが、戸建てなら29自治体と対象がより広いため、戸建てでランキングします。前回の岐阜県に続く東海地方2県目の分析です。

本記事は不動産情報ライブラリ(国土交通省)の公開データに基づく試算であり、投資助言や特定物件の推奨ではありません。想定条件を変えると結果は変わります。

結論

県庁所在地の津市を基準にすると、名古屋市に近い北勢エリアの三重郡朝日町(+34.9%)・桑名市(+26.9%)・四日市市(+22.6%)が大きく上回る結果になりました。鈴鹿市(+7.8%)も有意に上回っています。価格推移では2009年から2024年まで長期的に有意な下落が続き、2017年には82.7まで落ち込みましたが、2026年に103.8(有意差なし)まで回復し、岐阜県と同様に長期下落に一服の兆しが見えています。県内価格差は三重郡朝日町と度会郡度会町で7.5倍です。

三重県 市区町村別 価格ランキング(戸建て)

同じ延床面積・土地面積・築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・14,624件の実取引データを回帰分析しました。基準=津市)。

-80% -60% -40% -20% 0% +20% 三重郡朝日町 +34.9% n=102 桑名市 +26.9% n=1,232 四日市市 +22.6% n=2,820 鈴鹿市 +7.8% n=1,584 津市(基準) 0.0% n=2,712 松阪市 -12.4% n=1,396 亀山市 -17.5% n=316 名張市 -46.6% n=911 志摩市 -64.2% n=340 度会郡度会町 -81.9% n=17
津市より高い(統計的に有意) 津市より安い(統計的に有意)
全29地区のランキングを見る
順位市区町村価格水準n
1三重郡朝日町+34.9%102
2桑名市+26.9%1232
3四日市市+22.6%2820
4員弁郡東員町+17.8%231
5三重郡川越町+11.4%(n.s.)145
6鈴鹿市+7.8%1584
7津市(基準)0.0%2712
8三重郡菰野町-0.6%(n.s.)312
9松阪市-12.4%1396
10伊勢市-13.1%770
11桑名郡木曽岬町-13.8%(n.s.)46
12亀山市-17.5%316
13多気郡明和町-33.3%130
14度会郡玉城町-34.2%73
15南牟婁郡紀宝町-35.0%71
16いなべ市-35.7%168
17熊野市-44.1%106
18名張市-46.6%911
19尾鷲市-46.7%111
20伊賀市-47.9%615
21南牟婁郡御浜町-52.4%36
22鳥羽市-57.9%78
23多気郡多気町-63.8%57
24志摩市-64.2%340
25北牟婁郡紀北町-73.3%98
26多気郡大台町-74.2%42
27度会郡南伊勢町-78.7%64
28度会郡大紀町-79.0%41
29度会郡度会町-81.9%17

三重郡川越町・三重郡菰野町・桑名郡木曽岬町の3地区のみ津市との価格差が統計的に有意ではありません(n.s.)。それ以外はすべてp<0.05以下で有意です。

具体的に「延床120m²・土地200m²・築15年」で試算すると:

三重郡朝日町
約3,681万円
津市
約2,728万円
度会郡度会町
約494万円

朝日町と度会町を比べると、同じ広さの家で7.5倍の価格差がつきます。

三重県全体の価格推移:長期下落が2026年にようやく一服

同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、県全体・戸建て)。

80 100 120 140 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2026 100 82.7 103.8(n.s.)
2009〜2024年はほぼ有意な下落、2026年に有意差消滅

2007年を100とすると、2009年から2024年まで(一部の年を除き)ほぼ一貫して統計的に有意な下落が続きました。2017年には82.7まで落ち込み、これが19年間で最も低い水準です。その後は緩やかな回復が続き、2025年には94.6、2026年には103.8まで上昇し、2007年との差は統計的に有意ではなくなっています。前回取り上げた岐阜県と非常によく似た値動きで、東海地方の内陸部に共通するパターンの可能性があります。

データから分かったこと

三重郡朝日町・桑名市・四日市市が津市を大きく上回ったのは、名古屋市への通勤利便性の高さが表れた結果と考えられます。この北勢エリアは名古屋の隣接圏として長年宅地開発が進んでおり、県庁所在地の津市よりも高い住宅需要を集めていることがうかがえます。

2009〜2024年の長期下落とその後の回復は、前回の岐阜県とほぼ同じパターンでした。両県とも名古屋圏の外縁に位置し、東海地方の内陸部で共通する値動きが見られます。

県内価格差は7.5倍で、シリーズの中では上位に入る水準でした。志摩半島や熊野灘沿岸(志摩市・尾鷲市・度会郡エリア)のような紀伊半島東部の沿岸地域が下位に集中しています。

FIRE目線で一言

POINT

名古屋への通勤圏を確保しつつ住宅費を抑えたいなら、鈴鹿市・松阪市のような北勢〜中勢エリアが選択肢になります。志摩半島や熊野灘沿岸まで視野を広げれば、海の見える暮らしをより手頃な価格で実現できます。

長期下落が2026年にようやく一服したという値動きは、岐阜県と合わせて東海地方全体の転換点として注目したいところです。

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次回は滋賀県を見てみます。
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この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、戸建て(宅地(土地と建物))取引を対象に、延床面積・土地面積・築年数・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、14,624件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(23,749件)を重み付けなしで、それぞれ別の回帰モデルで算出しました(決定係数R²はそれぞれ0.57、0.60)。津市はまだ区制を敷いていないため、市全体を1つの単位としてランキングしています。

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