結論
県庁所在地の津市を基準にすると、名古屋市に近い北勢エリアの三重郡朝日町(+34.9%)・桑名市(+26.9%)・四日市市(+22.6%)が大きく上回る結果になりました。鈴鹿市(+7.8%)も有意に上回っています。価格推移では2009年から2024年まで長期的に有意な下落が続き、2017年には82.7まで落ち込みましたが、2026年に103.8(有意差なし)まで回復し、岐阜県と同様に長期下落に一服の兆しが見えています。県内価格差は三重郡朝日町と度会郡度会町で7.5倍です。
三重県 市区町村別 価格ランキング(戸建て)
同じ延床面積・土地面積・築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・14,624件の実取引データを回帰分析しました。基準=津市)。
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| 順位 | 市区町村 | 価格水準 | n |
|---|---|---|---|
| 1 | 三重郡朝日町 | +34.9% | 102 |
| 2 | 桑名市 | +26.9% | 1232 |
| 3 | 四日市市 | +22.6% | 2820 |
| 4 | 員弁郡東員町 | +17.8% | 231 |
| 5 | 三重郡川越町 | +11.4%(n.s.) | 145 |
| 6 | 鈴鹿市 | +7.8% | 1584 |
| 7 | 津市(基準) | 0.0% | 2712 |
| 8 | 三重郡菰野町 | -0.6%(n.s.) | 312 |
| 9 | 松阪市 | -12.4% | 1396 |
| 10 | 伊勢市 | -13.1% | 770 |
| 11 | 桑名郡木曽岬町 | -13.8%(n.s.) | 46 |
| 12 | 亀山市 | -17.5% | 316 |
| 13 | 多気郡明和町 | -33.3% | 130 |
| 14 | 度会郡玉城町 | -34.2% | 73 |
| 15 | 南牟婁郡紀宝町 | -35.0% | 71 |
| 16 | いなべ市 | -35.7% | 168 |
| 17 | 熊野市 | -44.1% | 106 |
| 18 | 名張市 | -46.6% | 911 |
| 19 | 尾鷲市 | -46.7% | 111 |
| 20 | 伊賀市 | -47.9% | 615 |
| 21 | 南牟婁郡御浜町 | -52.4% | 36 |
| 22 | 鳥羽市 | -57.9% | 78 |
| 23 | 多気郡多気町 | -63.8% | 57 |
| 24 | 志摩市 | -64.2% | 340 |
| 25 | 北牟婁郡紀北町 | -73.3% | 98 |
| 26 | 多気郡大台町 | -74.2% | 42 |
| 27 | 度会郡南伊勢町 | -78.7% | 64 |
| 28 | 度会郡大紀町 | -79.0% | 41 |
| 29 | 度会郡度会町 | -81.9% | 17 |
三重郡川越町・三重郡菰野町・桑名郡木曽岬町の3地区のみ津市との価格差が統計的に有意ではありません(n.s.)。それ以外はすべてp<0.05以下で有意です。
具体的に「延床120m²・土地200m²・築15年」で試算すると:
朝日町と度会町を比べると、同じ広さの家で7.5倍の価格差がつきます。
三重県全体の価格推移:長期下落が2026年にようやく一服
同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、県全体・戸建て)。
2007年を100とすると、2009年から2024年まで(一部の年を除き)ほぼ一貫して統計的に有意な下落が続きました。2017年には82.7まで落ち込み、これが19年間で最も低い水準です。その後は緩やかな回復が続き、2025年には94.6、2026年には103.8まで上昇し、2007年との差は統計的に有意ではなくなっています。前回取り上げた岐阜県と非常によく似た値動きで、東海地方の内陸部に共通するパターンの可能性があります。
データから分かったこと
三重郡朝日町・桑名市・四日市市が津市を大きく上回ったのは、名古屋市への通勤利便性の高さが表れた結果と考えられます。この北勢エリアは名古屋の隣接圏として長年宅地開発が進んでおり、県庁所在地の津市よりも高い住宅需要を集めていることがうかがえます。
2009〜2024年の長期下落とその後の回復は、前回の岐阜県とほぼ同じパターンでした。両県とも名古屋圏の外縁に位置し、東海地方の内陸部で共通する値動きが見られます。
県内価格差は7.5倍で、シリーズの中では上位に入る水準でした。志摩半島や熊野灘沿岸(志摩市・尾鷲市・度会郡エリア)のような紀伊半島東部の沿岸地域が下位に集中しています。
FIRE目線で一言
名古屋への通勤圏を確保しつつ住宅費を抑えたいなら、鈴鹿市・松阪市のような北勢〜中勢エリアが選択肢になります。志摩半島や熊野灘沿岸まで視野を広げれば、海の見える暮らしをより手頃な価格で実現できます。
長期下落が2026年にようやく一服したという値動きは、岐阜県と合わせて東海地方全体の転換点として注目したいところです。
この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、戸建て(宅地(土地と建物))取引を対象に、延床面積・土地面積・築年数・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、14,624件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(23,749件)を重み付けなしで、それぞれ別の回帰モデルで算出しました(決定係数R²はそれぞれ0.57、0.60)。津市はまだ区制を敷いていないため、市全体を1つの単位としてランキングしています。