岐阜県の住宅価格を調べてみた
FIRE移住研究 第36回

岐阜県の住宅価格を調べてみた
— 各務原市が県庁所在地を上回る、長期下落は2026年にようやく一服 —

第36回は岐阜県です。マンションは岐阜市中心に17自治体だが、戸建てなら42自治体と対象がより広いため、戸建てでランキングします。既出の愛知県・京都府・大阪府・奈良県に隣接する中部地方の分析です。

本記事は不動産情報ライブラリ(国土交通省)の公開データに基づく試算であり、投資助言や特定物件の推奨ではありません。想定条件を変えると結果は変わります。

結論

県庁所在地の岐阜市を基準にすると、名古屋市への通勤圏である各務原市が+6.2%とわずかに上回る結果になりました。羽島郡岐南町(+8.2%)・羽島郡笠松町(+2.0%)も岐阜市とほぼ同水準(有意差なし)です。価格推移では2009年から2025年までほぼ一貫して統計的に有意な下落が続き、2020年には83.1まで落ち込みましたが、2026年にようやく93.3(有意差なし)まで回復し、長期下落に一服の兆しが見えています。県内価格差は各務原市と加茂郡白川町で4.1倍です。

岐阜県 市区町村別 価格ランキング(戸建て)

同じ延床面積・土地面積・築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・13,744件の実取引データを回帰分析しました。基準=岐阜市)。

-80% -60% -40% -20% 0% +20% 各務原市 +6.2% n=1,145 岐阜市(基準) 0.0% n=3,391 大垣市 -9.9% n=1,357 多治見市 -11.9% n=1,017 可児市 -16.3% n=805 関市 -24.8% n=453 中津川市 -39.8% n=363 郡上市 -45.5% n=247 下呂市 -53.2% n=147 加茂郡白川町 -74.0% n=17
岐阜市より高い(統計的に有意) 岐阜市より安い(統計的に有意)
全40地区のランキングを見る
順位市区町村価格水準n
1羽島郡岐南町+8.2%(n.s.)212
2各務原市+6.2%1145
3羽島郡笠松町+2.0%(n.s.)175
4岐阜市(基準)0.0%3391
5本巣郡北方町-3.0%(n.s.)169
6瑞穂市-4.1%(n.s.)459
7大垣市-9.9%1357
8多治見市-11.9%1017
9高山市-12.5%634
10安八郡神戸町-12.7%(n.s.)90
11可児市-16.3%805
12美濃加茂市-17.5%371
13土岐市-21.6%294
14羽島市-24.7%508
15関市-24.8%453
16瑞浪市-27.8%165
17安八郡安八町-27.8%85
18本巣市-29.5%156
19加茂郡川辺町-31.6%62
20安八郡輪之内町-32.1%19
21不破郡垂井町-34.3%140
22恵那市-37.3%187
23中津川市-39.8%363
24加茂郡坂祝町-41.9%33
25郡上市-45.5%247
26加茂郡富加町-46.0%22
27可児郡御嵩町-48.3%124
28海津市-51.8%122
29美濃市-52.4%76
30下呂市-53.2%147
31揖斐郡池田町-53.6%80
32揖斐郡大野町-54.3%123
33養老郡養老町-55.1%99
34不破郡関ケ原町-55.3%21
35飛騨市-55.6%115
36山県市-57.3%131
37揖斐郡揖斐川町-61.5%78
38加茂郡八百津町-65.4%38
39その他-65.7%14
40加茂郡白川町-74.0%17

羽島郡岐南町・羽島郡笠松町・本巣郡北方町・瑞穂市・安八郡神戸町の5地区のみ岐阜市との価格差が統計的に有意ではありません(n.s.)。それ以外はすべてp<0.05以下で有意です。

具体的に「延床120m²・土地200m²・築15年」で試算すると:

各務原市
約2,606万円
岐阜市
約2,454万円
加茂郡白川町
約639万円

各務原市と白川町を比べると、同じ広さの家で4.1倍の価格差がつきます。

岐阜県全体の価格推移:長期下落が2026年にようやく一服

同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、県全体・戸建て)。

80 100 120 140 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2026 100 83.1 93.3(n.s.)
2009〜2025年はほぼ有意な下落、2026年にようやく有意差消滅

2007年を100とすると、2009年から2025年まで(一部の年を除き)ほぼ一貫して統計的に有意な下落が続きました。2020年には83.1まで落ち込み、これが19年間で最も低い水準です。その後もやや持ち直しつつ横ばいが続いていましたが、2026年にはようやく93.3まで回復し、2007年との差は統計的に有意ではなくなっています。徳島県で見られた「長期下落から急反発」ほど劇的ではないものの、同じように長期下落が最終年に一服するパターンが確認できました。

データから分かったこと

各務原市が岐阜市を上回ったのは、名古屋市への通勤利便性の高さが表れた結果と考えられます。羽島郡岐南町・笠松町も岐阜市とほぼ同水準(有意差なし)で、岐阜市南東部の名古屋通勤圏エリア全体が底堅い需要を持っていることがうかがえます。

2009〜2025年の長期下落は、これまでのシリーズでも特に持続期間の長いパターンでした。三重県も同様の長期下落パターンを示しており、東海地方に共通する値動きの可能性があります。

県内価格差は4.1倍で、シリーズの中では比較的小さい部類でした。加茂郡エリア(白川町・八百津町)や飛騨地方(下呂市・飛騨市)のような山間部が下位に集中しています。

FIRE目線で一言

POINT

岐阜市中心部での住宅費を抑えたいなら、大垣市・多治見市のような近郊都市が選択肢になります。下呂市のような温泉地エリアまで視野を広げれば、より手頃な価格で自然豊かな環境を楽しめます。

長期下落が2026年にようやく一服したという値動きは、今後の相場の転換点になるかどうか注目したいところです。

岐阜県の物件、実際の適正価格は?全国住宅AI査定で試算できます。
今すぐ試算する →
次回は三重県を見てみます。
FIRE移住研究㊲ を読む →

この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、戸建て(宅地(土地と建物))取引を対象に、延床面積・土地面積・築年数・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、13,744件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(23,366件)を重み付けなしで、それぞれ別の回帰モデルで算出しました(決定係数R²はそれぞれ0.61、0.61)。岐阜市はまだ区制を敷いていないため、市全体を1つの単位としてランキングしています。

← FIRE移住研究 記事一覧に戻る