茨城県の住宅価格を調べてみた
FIRE移住研究 第32回

茨城県の住宅価格を調べてみた
— つくばエクスプレス沿線の守谷市が県庁所在地を大きく上回る —

第32回は茨城県です。マンション取引は24自治体に留まる一方、戸建て(対象44自治体)ならより広く比較できるため、戸建てでランキングします。基準はつくば市よりやや取引量が少ないものの、県庁所在地の水戸市です。

本記事は不動産情報ライブラリ(国土交通省)の公開データに基づく試算であり、投資助言や特定物件の推奨ではありません。想定条件を変えると結果は変わります。

結論

県庁所在地の水戸市を基準にすると、守谷市が+61.1%と大きく上回り、これはシリーズ全体でも千葉県浦安市(+95.8%)・長野県軽井沢町(+82.0%)に次ぐ3番目に大きい「基準地超え」です。つくば市(+18.6%)・つくばみらい市(+9.7%)も上位に続き、つくばエクスプレス沿線の強さが際立ちます。価格推移では2012年に89.0まで下落した後、2022年以降に急上昇し2026年には124.5まで達しました。県内価格差は守谷市と鉾田市で7.4倍です。

茨城県 市区町村別 価格ランキング(戸建て)

同じ延床面積・土地面積・築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・22,681件の実取引データを回帰分析しました。基準=水戸市)。

-80% -40% 0% +40% +80% 守谷市 +61.1% n=976 つくば市 +18.6% n=2,485 つくばみらい市 +9.7% n=565 水戸市(基準) 0.0% n=2,226 土浦市 -10.7% n=1,425 日立市 -26.6% n=1,276 笠間市 -31.9% n=428 常総市 -34.3% n=304 常陸大宮市 -51.7% n=166 鉾田市 -78.2% n=506
水戸市より高い(統計的に有意) 水戸市より安い(統計的に有意)
全44地区のランキングを見る
順位市区町村価格水準n
1守谷市+61.1%976
2つくば市+18.6%2485
3つくばみらい市+9.7%565
4牛久市+1.8%(n.s.)1052
5取手市+0.9%(n.s.)1234
6水戸市(基準)0.0%2226
7東茨城郡大洗町-5.5%(n.s.)104
8ひたちなか市-9.5%1053
9土浦市-10.7%1425
10稲敷郡阿見町-11.0%337
11龍ケ崎市-14.8%753
12那珂郡東海村-20.8%188
13古河市-21.0%1245
14結城市-21.5%404
15日立市-26.6%1276
16かすみがうら市-27.9%248
17東茨城郡茨城町-29.4%168
18石岡市-29.5%394
19猿島郡五霞町-31.2%46
20笠間市-31.9%428
21神栖市-32.0%607
22鹿嶋市-32.7%977
23坂東市-32.7%223
24猿島郡境町-33.2%100
25那珂市-33.6%279
26常総市-34.3%304
27筑西市-35.7%650
28下妻市-38.4%208
29常陸太田市-44.6%251
30北相馬郡利根町-44.7%211
31潮来市-45.2%123
32小美玉市-47.5%239
33結城郡八千代町-48.1%99
34桜川市-49.8%140
35久慈郡大子町-50.9%54
36高萩市-51.6%160
37常陸大宮市-51.7%166
38稲敷市-57.8%266
39稲敷郡美浦村-61.0%67
40稲敷郡河内町-63.6%32
41行方市-66.2%79
42東茨城郡城里町-66.2%69
43北茨城市-70.2%264
44鉾田市-78.2%506

牛久市・取手市・東茨城郡大洗町の3地区のみ水戸市との価格差が統計的に有意ではありません(n.s.)。それ以外はすべてp<0.05以下で有意です。

具体的に「延床120m²・土地200m²・築15年」で試算すると:

守谷市
約5,430万円
水戸市
約3,369万円
鉾田市
約735万円

守谷市と鉾田市を比べると、同じ広さの家で7.4倍の価格差がつきます。

茨城県全体の価格推移:2022年以降、明確な上昇局面へ

同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、県全体・戸建て)。

80 100 120 140 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2026 100 89.0 124.5
2012年に底値、2022年以降は有意な上昇が続く

2007年を100とすると、2012年に89.0まで下落したのが19年間の底値でした。その後は緩やかに持ち直しつつも2020年まで横ばい圏で推移しましたが、2021年に101.1へ戻り、2022年以降は統計的に有意な上昇局面に入りました。2025年には118.6、2026年には124.5に達し、直近5年間の伸びが特に大きいのが特徴です。つくばエクスプレス沿線の宅地開発や東京圏への通勤利便性が、この上昇を後押ししている可能性がありますが、本データだけで明確な因果関係を特定することはできません。

データから分かったこと

守谷市の+61.1%は、これまでのシリーズでも際立って大きい「基準地超え」です。千葉県浦安市(+95.8%)・長野県軽井沢町(+82.0%)に次ぐシリーズ3位の大差で、つくばエクスプレスで東京都心まで最速35分程度という利便性が、県庁所在地の水戸市を大きく上回る価格に反映されていると考えられます。つくば市(+18.6%)・つくばみらい市(+9.7%)も同沿線上にあり、上位を沿線エリアが独占する結果になりました。

牛久市・取手市も水戸市とほぼ同水準(有意差なし)でした。いずれも常磐線沿線で東京への通勤圏に含まれ、県庁所在地に匹敵する需要があることがうかがえます。

2022年以降の急上昇は、これまで見てきた県の中でも特に明確な上昇トレンドでした。宮城県・福島県のような外的要因(震災・復興)とは異なり、茨城県は緩やかな回復から急伸へという値動きで、都心へのアクセスの良さが評価されている可能性があります。

FIRE目線で一言

POINT

東京への通勤圏を確保しつつ住宅費を抑えたいなら、つくばエクスプレス沿線・常磐線沿線の周辺自治体が候補になります。ただし守谷市のように利便性の高いエリアはすでに価格が上振れしており、割安感は薄れつつあります。

県北部・県南東部(鉾田市・北茨城市など)まで視野を広げれば、より手頃な選択肢も見つかりますが、都心からの距離や交通利便性とのバランスを見極める必要があります。

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この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、戸建て(宅地(土地と建物))取引を対象に、延床面積・土地面積・築年数・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、22,681件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(34,831件)を重み付けなしで、それぞれ別の回帰モデルで算出しました(決定係数R²はそれぞれ0.62、0.63)。水戸市はまだ区制を敷いていないため、市全体を1つの単位としてランキングしています。マンション取引可能な自治体は24市町村と限られるため、44市町村で比較できる戸建てを採用しました。

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