結論
コンパクトな住宅都市として知られる下松市が県内トップ(+14.4%)となり、県内最大の都市・下関市(+10.6%)、二番目に大きい岩国市(+8.2%)を上回るという結果になりました。19年間の価格推移は、直近2026年時点では2007年との差が統計的に有意ではなく、この19年間で明確な値上がり・値下がりのどちらとも言えない結果でした。県内価格差は下松市と阿武郡阿武町で3.7倍です。
山口県 市区町村別 価格ランキング(戸建て)
同じ延床面積・土地面積・築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・9,892件の実取引データを回帰分析しました。基準=山口市)。
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| 順位 | 市区町村 | 価格水準 | n |
|---|---|---|---|
| 1 | 下松市 | +14.4% | 548 |
| 2 | 下関市 | +10.6% | 1970 |
| 3 | 岩国市 | +8.2% | 846 |
| 4 | 周南市 | +0.4%(n.s.) | 1248 |
| 5 | 山口市(基準) | 0.0% | 1287 |
| 6 | 光市 | -4.7%(n.s.) | 438 |
| 7 | 防府市 | -5.5%(n.s.) | 1110 |
| 8 | 宇部市 | -14.8% | 1140 |
| 9 | 山陽小野田市 | -30.9% | 323 |
| 10 | 熊毛郡田布施町 | -32.6% | 80 |
| 11 | 萩市 | -38.0% | 234 |
| 12 | 柳井市 | -41.3% | 166 |
| 13 | 玖珂郡和木町 | -46.0% | 25 |
| 14 | 熊毛郡平生町 | -47.9% | 73 |
| 15 | 大島郡周防大島町 | -55.0% | 105 |
| 16 | 長門市 | -56.3% | 178 |
| 17 | 美祢市 | -58.3% | 91 |
| 18 | 阿武郡阿武町 | -69.1% | 17 |
| 19 | その他 | -72.2% | 13 |
周南市・光市・防府市は山口市との価格差が統計的に有意ではありません(n.s.)。それ以外はすべてp<0.05以下で有意です。
具体的に「延床120m²・土地200m²・築15年」で試算すると:
下松市と阿武町を比べると、同じ広さの家で3.7倍の価格差がつきます。
山口県全体の価格推移(2007年〜2026年、19年間)
同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、県全体・戸建て)。
2007年を100とすると、19年間を通じてほぼ100〜111の狭いレンジで推移しており、2026年時点(106.6)でも2007年との差は統計的に有意ではありません。2022年(109.2)・2024年(111.4)・2025年(110.8)の3か年のみ有意な上昇が確認できましたが、2026年には再び有意差が消えています。これまで見た20都府県以上の中で、最も値動きの小さい「安定した」市場という結果でした。
データから分かったこと
下松市が県内最大の下関市・第2の都市である岩国市を上回ったのは、コンパクトな街づくりで知られる住宅都市としての人気の表れと考えられます。これまでの石川(野々市市)・富山(舟橋村)などと同様、小規模でも住みやすさで評価される自治体が上位に来るパターンが、山口県でも確認できました。
19年間、価格に統計的に有意な変動がほとんど見られなかったのは、これまでのシリーズでも特徴的な結果でした。2022年以降にわずかな上昇の兆しはあるものの、直近の2026年には再び有意差が消えており、他の中国地方の県(広島・岡山)で見られた「近年の明確な上昇」ほどの勢いはありませんでした。
県内価格差は3.7倍で、シリーズの中でも小さめの数値でした。阿武郡阿武町のような過疎地域はあるものの、県内主要都市間の価格差自体は比較的小さく、どの都市を選んでも極端な差が出にくい県と言えます。
FIRE目線で一言
山口県は県内価格差が小さく、どのエリアを選んでも住宅費に極端な差が出にくい県です。下関市・岩国市のような主要都市でも、山口市とそれほど変わらない水準で住宅を確保できます。
19年間、価格が大きく動いていないという結果は、相場の安定感という意味では住宅費を抑えて暮らしたいFIRE目線には向いている一方、資産性の観点では大きな期待はしにくい市場と言えそうです。
この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、戸建て(宅地(土地と建物))取引を対象に、延床面積・土地面積・築年数・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、9,892件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(15,664件)を重み付けなしで、それぞれ別の回帰モデルで算出しました(決定係数R²はそれぞれ0.53、0.52)。山口市はまだ区制を敷いていないため、市全体を1つの単位としてランキングしています。