山口県の住宅価格を調べてみた
FIRE移住研究 第30回

山口県の住宅価格を調べてみた
— 下松市が、下関市・山口市を上回る —

第30回は山口県です。マンションは下関市・山口市中心に7自治体のみと狭いため、戸建て(対象19自治体)でランキングします。中国地方は岡山県・広島県に続く3県目の分析です。

本記事は不動産情報ライブラリ(国土交通省)の公開データに基づく試算であり、投資助言や特定物件の推奨ではありません。想定条件を変えると結果は変わります。

結論

コンパクトな住宅都市として知られる下松市が県内トップ(+14.4%)となり、県内最大の都市・下関市(+10.6%)、二番目に大きい岩国市(+8.2%)を上回るという結果になりました。19年間の価格推移は、直近2026年時点では2007年との差が統計的に有意ではなく、この19年間で明確な値上がり・値下がりのどちらとも言えない結果でした。県内価格差は下松市と阿武郡阿武町で3.7倍です。

山口県 市区町村別 価格ランキング(戸建て)

同じ延床面積・土地面積・築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・9,892件の実取引データを回帰分析しました。基準=山口市)。

-80% -60% -40% -20% 0% +20% 下松市 +14.4% n=548 下関市 +10.6% n=1,970 岩国市 +8.2% n=846 山口市(基準) 0.0% n=1,287 防府市 -5.5%(n.s.) n=1,110 宇部市 -14.8% n=1,140 山陽小野田市 -30.9% n=323 萩市 -38.0% n=234 長門市 -56.3% n=178 阿武町 -69.1% n=17
基準より高い(統計的に有意) 基準より安い(統計的に有意)
全19地区のランキングを見る
順位市区町村価格水準n
1下松市+14.4%548
2下関市+10.6%1970
3岩国市+8.2%846
4周南市+0.4%(n.s.)1248
5山口市(基準)0.0%1287
6光市-4.7%(n.s.)438
7防府市-5.5%(n.s.)1110
8宇部市-14.8%1140
9山陽小野田市-30.9%323
10熊毛郡田布施町-32.6%80
11萩市-38.0%234
12柳井市-41.3%166
13玖珂郡和木町-46.0%25
14熊毛郡平生町-47.9%73
15大島郡周防大島町-55.0%105
16長門市-56.3%178
17美祢市-58.3%91
18阿武郡阿武町-69.1%17
19その他-72.2%13

周南市・光市・防府市は山口市との価格差が統計的に有意ではありません(n.s.)。それ以外はすべてp<0.05以下で有意です。

具体的に「延床120m²・土地200m²・築15年」で試算すると:

下松市
約2,950万円
山口市
約2,579万円
阿武郡阿武町
約796万円

下松市と阿武町を比べると、同じ広さの家で3.7倍の価格差がつきます。

山口県全体の価格推移(2007年〜2026年、19年間)

同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、県全体・戸建て)。

90 100 110 120 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2026 100 111.4 106.6(n.s.)
ほぼ全期間で有意差なし(2022・2024・2025年のみ有意)

2007年を100とすると、19年間を通じてほぼ100〜111の狭いレンジで推移しており、2026年時点(106.6)でも2007年との差は統計的に有意ではありません。2022年(109.2)・2024年(111.4)・2025年(110.8)の3か年のみ有意な上昇が確認できましたが、2026年には再び有意差が消えています。これまで見た20都府県以上の中で、最も値動きの小さい「安定した」市場という結果でした。

データから分かったこと

下松市が県内最大の下関市・第2の都市である岩国市を上回ったのは、コンパクトな街づくりで知られる住宅都市としての人気の表れと考えられます。これまでの石川(野々市市)・富山(舟橋村)などと同様、小規模でも住みやすさで評価される自治体が上位に来るパターンが、山口県でも確認できました。

19年間、価格に統計的に有意な変動がほとんど見られなかったのは、これまでのシリーズでも特徴的な結果でした。2022年以降にわずかな上昇の兆しはあるものの、直近の2026年には再び有意差が消えており、他の中国地方の県(広島・岡山)で見られた「近年の明確な上昇」ほどの勢いはありませんでした。

県内価格差は3.7倍で、シリーズの中でも小さめの数値でした。阿武郡阿武町のような過疎地域はあるものの、県内主要都市間の価格差自体は比較的小さく、どの都市を選んでも極端な差が出にくい県と言えます。

FIRE目線で一言

POINT

山口県は県内価格差が小さく、どのエリアを選んでも住宅費に極端な差が出にくい県です。下関市・岩国市のような主要都市でも、山口市とそれほど変わらない水準で住宅を確保できます。

19年間、価格が大きく動いていないという結果は、相場の安定感という意味では住宅費を抑えて暮らしたいFIRE目線には向いている一方、資産性の観点では大きな期待はしにくい市場と言えそうです。

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次回は徳島県を見てみます。
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この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、戸建て(宅地(土地と建物))取引を対象に、延床面積・土地面積・築年数・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、9,892件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(15,664件)を重み付けなしで、それぞれ別の回帰モデルで算出しました(決定係数R²はそれぞれ0.53、0.52)。山口市はまだ区制を敷いていないため、市全体を1つの単位としてランキングしています。

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