福島県の住宅価格を調べてみた
FIRE移住研究 第29回

福島県の住宅価格を調べてみた
— 2013年前後を境に、価格の水準が変わった —

第29回は福島県です。マンションは郡山市中心にわずか4自治体のみと極端に薄いため、戸建て(対象48自治体)でランキングします。東北は宮城県に続く2県目の分析です。

本記事は不動産情報ライブラリ(国土交通省)の公開データに基づく試算であり、投資助言や特定物件の推奨ではありません。想定条件を変えると結果は変わります。

結論

県内最大の商業・交通拠点である郡山市が、県庁所在地の福島市を+5.1%上回るという結果になりました。価格推移では2012年まで横ばい〜下落基調だったものが、2013年前後を境に明確に上昇し、以降は高い水準で推移。2026年は124.9(+24.9%)でした。県内価格差は郡山市と耶麻郡西会津町で10.8倍です。

福島県 市区町村別 価格ランキング(戸建て)

同じ延床面積・土地面積・築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・13,756件の実取引データを回帰分析しました。基準=福島市)。

-80% -60% -40% -20% 0% +20% 郡山市 +5.1% n=2,759 福島市(基準) 0.0% n=2,378 いわき市 -17.1% n=3,109 会津若松市 -18.7% n=1,046 須賀川市 -27.1% n=565 伊達市 -37.0% n=328 白河市 -55.8% n=492 南相馬市 -56.5% n=374 富岡町 -67.1% n=80 西会津町 -90.3% n=21
基準より高い(統計的に有意) 基準より安い(統計的に有意)
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順位市区町村価格水準n
1郡山市+5.1%2759
2福島市(基準)0.0%2378
3いわき市-17.1%3109
4会津若松市-18.7%1046
5双葉郡広野町-22.9%(n.s.)18
6田村郡三春町-24.4%84
7本宮市-24.6%208
8須賀川市-27.1%565
9西白河郡西郷村-36.9%174
10双葉郡浪江町-36.9%49
11伊達市-37.0%328
12二本松市-40.5%250
13西白河郡矢吹町-46.2%132
14安達郡大玉村-47.2%57
15岩瀬郡鏡石町-49.8%79
16東白川郡塙町-50.6%32
17相馬郡新地町-52.1%37
18双葉郡楢葉町-52.3%34
19伊達郡桑折町-52.7%62
20白河市-55.8%492
21石川郡浅川町-56.2%22
22伊達郡国見町-56.4%40
23南相馬市-56.5%374
24西白河郡中島村-57.9%21
25東白川郡矢祭町-61.2%19
26伊達郡川俣町-61.4%47
27耶麻郡北塩原村-62.8%19
28河沼郡会津坂下町-63.1%58
29東白川郡棚倉町-63.8%54
30耶麻郡磐梯町-65.5%20
31相馬市-65.7%224
32喜多方市-65.7%218
33田村郡小野町-66.8%22
34双葉郡富岡町-67.1%80
35田村市-68.4%55
36耶麻郡猪苗代町-68.9%83
37西白河郡泉崎村-74.5%33
38南会津郡南会津町-76.1%52
39その他-77.1%104
40岩瀬郡天栄村-77.2%161
41石川郡石川町-80.0%36
42南会津郡只見町-83.8%32
43大沼郡会津美里町-85.2%68
44耶麻郡西会津町-90.3%21

双葉郡広野町のみ福島市との価格差が統計的に有意ではありません(n.s.)。それ以外はすべてp<0.01以下で有意です。双葉郡富岡町・浪江町・楢葉町などは2011年の東京電力福島第一原発事故の避難指示対象地域を含みます。

具体的に「延床120m²・土地200m²・築15年」で試算すると:

郡山市
約3,869万円
福島市
約3,682万円
耶麻郡西会津町
約358万円

郡山市と西会津町を比べると、同じ広さの家で10.8倍の価格差がつきます。

福島県全体の価格推移(2007年〜2026年、19年間)

同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、県全体・戸建て)。

80 100 120 140 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2026 100 130.2 124.9
2013年以降、統計的に有意な上昇が継続

2007年を100とすると、2012年までは92〜100の範囲で横ばい〜下落基調でした。2013年に114.3まで跳ね上がり、2015年には130.2まで上昇。その後は111〜125の範囲で高止まりし、2026年は124.9(+24.9%)でした。2013年前後の急上昇は、2011年の東日本大震災・東京電力福島第一原発事故からの復興需要(住宅再建・資材費や人件費の上昇)が背景にある可能性がありますが、本データだけで明確な因果関係を特定することはできません。いずれにせよ、震災前後で県全体の価格水準が明確に切り替わったことがデータから読み取れます。

データから分かったこと

郡山市が県庁所在地の福島市を上回ったのは、郡山市が東北新幹線・磐越自動車道などが交わる県内最大の交通・商業拠点であることの表れと考えられます。これまでの埼玉(浦和区)・石川(野々市市)などと同様、「県庁所在地=最高値」とは限らないパターンがここでも確認できました。

2013年前後を境に価格水準が切り替わったのは、これまでのシリーズでも特徴的な値動きでした。宮城県では東日本大震災による明確な「下落」が見られましたが、福島県では震災の2年後から明確な「上昇」に転じており、対照的な結果です。地域・時期による復興需要の表れ方の違いを示唆しています。

双葉郡富岡町・浪江町・楢葉町など、2011年の原発事故で避難指示の対象となったエリアを含む自治体は、ランキングでは下位に位置しています。これらの地域は避難指示の解除が進んでいますが、住宅価格には震災の影響が長く残っていることがうかがえます。

FIRE目線で一言

POINT

郡山市・福島市中心部での住宅費を抑えたいなら、いわき市・会津若松市のような県内主要都市も比較的近い水準の選択肢です。会津地方まで視野を広げれば、より手頃な選択肢も見つかります。

2013年以降の価格上昇が今後も続くのか、それとも一段落するのかは、今後の値動きを見極める必要がありそうです。

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次回は山口県を見てみます。
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この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、戸建て(宅地(土地と建物))取引を対象に、延床面積・土地面積・築年数・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、13,756件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(21,311件)を重み付けなしで、それぞれ別の回帰モデルで算出しました(決定係数R²はそれぞれ0.51、0.51)。福島市はまだ区制を敷いていないため、市全体を1つの単位としてランキングしています。

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