石川県の住宅価格を調べてみた
FIRE移住研究 第26回

石川県の住宅価格を調べてみた
— 能登半島地震後、価格は急上昇 —

第26回は石川県です。マンション取引の90%が金沢市に集中し対象自治体が4のみと薄いため、戸建て(対象19自治体)でランキングします。北陸は新潟県に続く2県目の分析です。

本記事は不動産情報ライブラリ(国土交通省)の公開データに基づく試算であり、投資助言や特定物件の推奨ではありません。想定条件を変えると結果は変わります。

結論

「住みここちランキング」で全国上位の常連として知られる野々市市が、金沢市を+13.7%上回るという結果になりました。価格推移では2007年以降緩やかな下落が続いていましたが、2024年の能登半島地震以降、2024〜2026年にかけて価格が急上昇し、2026年は139.7(+39.7%)となりました。県内価格差は野々市市と珠洲市で5.9倍です。

石川県 市区町村別 価格ランキング(戸建て)

同じ延床面積・土地面積・築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・9,384件の実取引データを回帰分析しました。基準=金沢市)。

-80% -60% -40% -20% 0% +20% 野々市市 +13.7% n=449 金沢市(基準) 0.0% n=4,865 河北郡内灘町 -20.6% n=283 白山市 -21.2% n=1,076 小松市 -44.6% n=658 能美市 -49.5% n=287 七尾市 -64.7% n=279 加賀市 -74.1% n=323 輪島市 -76.2% n=104 珠洲市 -80.8% n=45
基準より高い(統計的に有意) 基準より安い(統計的に有意)
全19地区のランキングを見る
順位市区町村価格水準n
1野々市市+13.7%449
2金沢市(基準)0.0%4865
3河北郡内灘町-20.6%283
4白山市-21.2%1076
5河北郡津幡町-35.6%347
6小松市-44.6%658
7能美郡川北町-47.2%15
8かほく市-48.2%262
9能美市-49.5%287
10羽咋市-61.5%122
11七尾市-64.7%279
12鳳珠郡穴水町-69.8%43
13鹿島郡中能登町-71.4%41
14加賀市-74.1%323
15羽咋郡志賀町-74.9%76
16鳳珠郡能登町-76.0%68
17輪島市-76.2%104
18珠洲市-80.8%45
19羽咋郡宝達志水町-83.2%41

上記はすべて金沢市との比較で統計的に有意(p<0.01)です。輪島市・珠洲市・鳳珠郡穴水町・鳳珠郡能登町は2024年1月の能登半島地震の被災地を含みます。

具体的に「延床120m²・土地200m²・築15年」で試算すると:

野々市市
約5,250万円
金沢市
約4,616万円
珠洲市
約886万円

野々市市と珠洲市を比べると、同じ広さの家で5.9倍の価格差がつきます。

石川県全体の価格推移:能登半島地震後に急上昇

同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、県全体・戸建て)。

80 100 120 140 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2026 100 122.7 139.7
2023年以降、統計的に有意な上昇(特に2024年以降が急)

2007年を100とすると、2012年頃まで緩やかに下落し、その後は横ばい圏で推移していましたが、2023年以降に明確な上昇へ転じ、2024年115.9→2025年122.7→2026年139.7と急ピッチで上昇しています。2024年1月に発生した能登半島地震以降のこの急上昇は、被災地の復興需要や資材・人件費の高騰、県全体での建築需要の変化などが背景にある可能性がありますが、明確な因果関係は本データだけでは特定できません。輪島市・珠洲市など被害の大きかった地域は、ランキングでは下位に位置しています。

データから分かったこと

野々市市が金沢市を上回ったのは、全国的な「住みここちランキング」の常連であることと符合する結果でした。金沢大学のキャンパスがあり、子育て世代に人気の高いベッドタウンとして知られています。これまでの佐賀(鳥栖市)・埼玉(浦和区)などと同様の「近郊都市が県庁所在地を上回る」パターンがここでも確認できました。

能登半島地震後の急激な価格上昇は、これまでのシリーズでは見られなかった値動きでした。宮城県の東日本大震災後は明確な下落として表れましたが、石川県では逆に上昇として表れています。震災の規模・被災エリアの広さ・データ集計期間の違いなど、単純比較はできない点に留意が必要です。

輪島市・珠洲市のような能登半島北部エリアは、ランキングでは下位に位置しました。これらの地域は2024年の地震で甚大な被害を受けたエリアを含みます。

FIRE目線で一言

POINT

金沢市中心部での住宅費を抑えたいなら、白山市・河北郡内灘町のような近郊エリアが現実的な選択肢です。小松市・能美市のような県南部の中核都市も比較的手頃な水準です。

直近の価格上昇が一時的なものか、構造的な変化なのかは今後数年の値動きを見極める必要がありそうです。

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この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、戸建て(宅地(土地と建物))取引を対象に、延床面積・土地面積・築年数・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、9,384件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(14,236件)を重み付けなしで、それぞれ別の回帰モデルで算出しました(決定係数R²はそれぞれ0.62、0.62)。金沢市はまだ区制を敷いていないため、市全体を1つの単位としてランキングしています。

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