愛媛県の住宅価格を調べてみた
FIRE移住研究 第25回

愛媛県の住宅価格を調べてみた
— シリーズ最大の下落幅、-19.7% —

第25回は愛媛県です。マンション取引の82%が松山市に集中し対象自治体が4のみと薄いため、戸建て(対象19自治体)でランキングします。四国は今回が初めての分析です。

本記事は不動産情報ライブラリ(国土交通省)の公開データに基づく試算であり、投資助言や特定物件の推奨ではありません。想定条件を変えると結果は変わります。

結論

四国最大の都市・松山市が価格トップで、東温市(-21.4%)・新居浜市(-45.9%)と続きます。一方で県全体の価格推移を見ると、2007年から2026年にかけて統計的に有意な下落(-19.7%)を記録しました。静岡県に続きシリーズ2例目の「値下がり県」で、下落幅はこれまでで最大です。県内価格差は松山市と越智郡上島町で12.0倍でした。

愛媛県 市区町村別 価格ランキング(戸建て)

同じ延床面積・土地面積・築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・7,314件の実取引データを回帰分析しました。基準=松山市)。

-80% -60% -40% -20% 0% 松山市(基準) 0.0% n=3,697 東温市 -21.4% n=207 新居浜市 -45.9% n=581 今治市 -49.4% n=864 西条市 -52.9% n=440 宇和島市 -61.7% n=345 大洲市 -63.1% n=134 愛南町 -77.3% n=73 伊方町 -85.8% n=33 上島町 -91.6% n=30
松山市より安い(統計的に有意)
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順位市区町村価格水準n
1松山市(基準)0.0%3697
2伊予郡松前町-9.6%(n.s.)195
3伊予郡砥部町-14.3%118
4東温市-21.4%207
5四国中央市-38.0%58
6八幡浜市-44.4%137
7新居浜市-45.9%581
8伊予市-47.9%171
9今治市-49.4%864
10西条市-52.9%440
11西予市-60.9%103
12宇和島市-61.7%345
13大洲市-63.1%134
14喜多郡内子町-63.9%55
15その他-70.4%9
16上浮穴郡久万高原町-73.2%29
17南宇和郡愛南町-77.3%73
18北宇和郡鬼北町-79.6%35
19西宇和郡伊方町-85.8%33
20越智郡上島町-91.6%30

伊予郡松前町のみ松山市との価格差が統計的に有意ではありません(n.s.)。それ以外はすべてp<0.05以下で有意です。

具体的に「延床120m²・土地200m²・築15年」で試算すると:

松山市
約3,499万円
今治市
約1,772万円
越智郡上島町
約292万円

松山市と上島町を比べると、同じ広さの家で12.0倍の価格差がつきます。

愛媛県全体の価格推移:シリーズ最大の下落幅

同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、県全体・戸建て)。

70 80 90 100 110 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2026 100 79.0 80.3
2010年以降ほぼ全期間で統計的に有意な下落

2007年を100とすると、以降ほぼ一貫して下落基調が続き、2020年には79.0(19年間で最も低い水準)まで落ち込みました。その後2022年に91.3まで一時的に持ち直したものの、再び下落し、2026年は80.3(-19.7%)にとどまっています。この値は統計的にも有意な下落(p<0.001)で、静岡県(-7.3%)に続きシリーズ2例目の「値下がり県」であり、下落幅としてはこれまでで最大です。

データから分かったこと

松山市が突出したのは、四国最大の都市かつ県庁所在地としての求心力の表れと考えられます。2位の東温市(松山市の東隣)も-21.4%と、松山都市圏の中では比較的高い水準を維持しています。

19年間で統計的に有意な下落を記録したのは、これまでのシリーズで静岡県に次いで2例目でした。下落幅(-19.7%)は静岡県(-7.3%)を大きく上回り、シリーズ最大です。地方の戸建て市場全体として、大都市圏とは異なる構造的な下落圧力があることがうかがえます。

県内価格差は12.0倍で、シリーズの中でも上位に入る大きさでした。瀬戸内海の離島である越智郡上島町、原発が立地する西宇和郡伊方町のような地域は、松山市中心部と非常に大きな価格差がついています。

FIRE目線で一言

POINT

愛媛県は19年間、住宅価格が明確に値下がりしてきた市場であり、これから購入・移住を検討する場合は「資産性」よりも「暮らしやすさ・住宅費の手頃さ」を重視する選択がフィットしそうです。松山市中心部でも、東温市のような隣接エリアなら比較的手頃に住宅を確保できます。

四国最大の都市でありながら、県全体としては値下がりが続いているという結果は、地方都市の住宅市場が置かれている状況を象徴しているようにも見えます。

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次回は石川県を見てみます。
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この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、戸建て(宅地(土地と建物))取引を対象に、延床面積・土地面積・築年数・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、7,314件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(12,543件)を重み付けなしで、それぞれ別の回帰モデルで算出しました(決定係数R²はそれぞれ0.53、0.54)。松山市はまだ区制を敷いていないため、市全体を1つの単位としてランキングしています。

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