宮城県の住宅価格を調べてみた
FIRE移住研究 第20回

宮城県の住宅価格を調べてみた
— 震災の落ち込みも見える19年間 —

第20回は宮城県です。マンション取引の96%が仙台市5区に集中し対象自治体が12のみと薄いため、戸建て(対象37自治体)でランキングします。東北で唯一の政令指定都市・仙台を擁する県です。

本記事は不動産情報ライブラリ(国土交通省)の公開データに基づく試算であり、投資助言や特定物件の推奨ではありません。想定条件を変えると結果は変わります。

結論

仙台駅東口に近く近年再開発が進む仙台市若林区が、伝統的な中心地である青葉区を+18.6%上回るという結果になりました。宮城野区(+10.5%)・泉区(+7.7%)も青葉区を上回っています。価格推移では2011年の東日本大震災による落ち込み(90.3)がはっきり確認でき、そこからの回復・上昇を経て2026年は136.4(+36.4%)でした。県内価格差は若林区と伊具郡丸森町で8.7倍です。

宮城県 市区町村別 価格ランキング(戸建て)

同じ延床面積・築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・23,888件の実取引データを回帰分析しました。基準=仙台市青葉区)。

-80% -60% -40% -20% 0% +20% 仙台市若林区 +18.6% n=1,522 仙台市宮城野区 +10.5% n=1,754 仙台市泉区 +7.7% n=3,548 仙台市青葉区(基準) 0.0% n=3,940 仙台市太白区 -5.5% n=2,972 名取市 -11.6% n=1,176 岩沼市 -21.2% n=464 塩竈市 -36.1% n=709 石巻市 -53.9% n=1,084 伊具郡丸森町 -86.4% n=42
基準より高い(統計的に有意) 基準より安い(統計的に有意)
全38地区のランキングを見る
順位市区町村価格水準n
1仙台市若林区+18.6%1522
2仙台市宮城野区+10.5%1754
3仙台市泉区+7.7%3548
4富谷市+4.2%(n.s.)873
5仙台市青葉区(基準)0.0%3940
6宮城郡利府町-1.0%(n.s.)455
7仙台市太白区-5.5%2972
8多賀城市-6.6%724
9名取市-11.6%1176
10黒川郡大和町-16.3%359
11岩沼市-21.2%464
12東松島市-33.2%337
13黒川郡大衡村-33.7%43
14塩竈市-36.1%709
15宮城郡七ヶ浜町-36.1%204
16亘理郡亘理町-53.3%228
17大崎市-53.7%854
18石巻市-53.9%1084
19柴田郡大河原町-55.5%215
20宮城郡松島町-55.6%109
21刈田郡蔵王町-58.2%180
22遠田郡美里町-59.0%144
23柴田郡柴田町-59.3%334
24登米市-61.3%272
25気仙沼市-64.4%230
26本吉郡南三陸町-65.3%21
27柴田郡村田町-68.1%36
28遠田郡涌谷町-69.1%74
29栗原市-72.0%229
30黒川郡大郷町-72.9%26
31柴田郡川崎町-73.0%76
32加美郡加美町-74.3%100
33白石市-77.1%238
34牡鹿郡女川町-77.4%44
35角田市-78.4%177
36亘理郡山元町-86.3%75
37伊具郡丸森町-86.4%42
38その他-92.0%20

富谷市・宮城郡利府町は青葉区との価格差が統計的に有意ではありません(n.s.)。それ以外はすべてp<0.01以下で有意です。

具体的に「延床120m²・土地200m²・築15年」で試算すると:

仙台市若林区
約5,304万円
仙台市青葉区
約4,474万円
伊具郡丸森町
約607万円

若林区と丸森町を比べると、同じ広さの家で8.7倍の価格差がつきます。

宮城県全体の価格推移(2007年〜2026年、19年間)

同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、県全体・戸建て)。

80 100 120 140 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2026 100 90.3 136.4
2013年以降ほぼ全期間で統計的に有意な上昇(p<0.05)

2007年を100とすると、2010年の90.3(19年間で最も低い水準)まで下落しました。この年は東日本大震災(2011年3月)の前年にあたりますが、震災直後の2011年も95.5と低迷が続き、本格的な回復は2013年以降(110.1)に始まっています。震災からの復興需要・住宅再建が価格を押し上げたと考えられ、2019年には126.4まで上昇。その後は横ばい圏が続いた後、2026年は136.4(+36.4%)まで伸びました。これまで見た大都市圏(東京・大阪・名古屋・埼玉・千葉など)と比べると緩やかな伸びですが、震災という大きな外的ショックを経ての回復として見ると、着実な上昇と言えます。

データから分かったこと

仙台市若林区が伝統的な中心・青葉区を上回ったのは、仙台駅東口エリアの再開発が背景にあると考えられます。若林区は仙台駅の東側に位置し、近年の区画整理・再開発が進むエリアを含みます。宮城野区(仙台駅東口・楽天モバイルパーク宮城周辺)・泉区(仙台市北部のベッドタウン)も青葉区を上回っており、「県庁所在地の伝統的中心=最高値」とは限らないという、これまでのシリーズでも繰り返し見られたパターンがここでも確認できました。

2011年の東日本大震災による落ち込みが、価格推移データにはっきりと表れています。これまで見てきた19都府県の中で、外的ショックによる明確な下落が確認できたのは宮城県が初めてです。沿岸部の被災地域を含む石巻市・東松島市・気仙沼市などが下位に位置している点も、震災の影響が住宅市場に長く残っていることを示唆しています。

県内価格差は8.7倍と、シリーズの中でも大きめの数値でした。仙台市とその近郊は堅調な一方、県北部・沿岸部との差は大きく開いています。

FIRE目線で一言

POINT

仙台市中心部での住宅費を抑えたいなら、名取市・多賀城市のような近郊都市が現実的な選択肢です。さらに手頃さを求めるなら、大崎市・登米市のような県北部も検討候補になります。

震災からの回復を経て着実な上昇を続けている市場であり、東北で唯一の政令指定都市を擁する宮城県は、地方都市としてのバランスの取れた選択肢と言えそうです。

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次回は静岡県を見てみます。
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この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、戸建て(宅地(土地と建物))取引を対象に、延床面積・土地面積・築年数・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、23,888件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(36,905件)を重み付けなしで、それぞれ別の回帰モデルで算出しました(決定係数R²はそれぞれ0.59、0.59)。仙台市は区単位でデータが記録されているため、区を1つの単位としてランキングしています。

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