結論
旧浦和市の中心であるさいたま市浦和区が、市役所を含む中央区を+6.4%上回るという結果になりました。大宮区も中央区とほぼ同水準(+1.5%、有意差なし)で、「市の中心=中央区」とは限らないことが分かります。19年間の価格上昇率は+136.3%と東京(+143.8%)に迫る伸びで、大阪・名古屋を上回りました。県内価格差は浦和区と行田市で4.4倍です。
埼玉県 市区町村・区別 価格ランキング(ファミリータイプ・マンション)
同じ面積・築年数・間取りの物件で揃えて比較した場合の、区市ごとの価格差です(直近10年・42,688件の実取引データを回帰分析しました。基準=さいたま市中央区)。
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| 順位 | 区市 | 価格水準 | n |
|---|---|---|---|
| 1 | さいたま市浦和区 | +6.4% | 2306 |
| 2 | さいたま市大宮区 | +1.5%(n.s.) | 1388 |
| 3 | さいたま市中央区(基準) | 0.0% | 1178 |
| 4 | さいたま市南区 | -8.6% | 2337 |
| 5 | 和光市 | -10.6% | 1073 |
| 6 | 蕨市 | -11.2% | 624 |
| 7 | 川口市 | -16.9% | 5070 |
| 8 | 戸田市 | -18.0% | 1623 |
| 9 | 志木市 | -22.2% | 927 |
| 10 | 朝霞市 | -25.3% | 1563 |
| 11 | 富士見市 | -30.7% | 617 |
| 12 | さいたま市緑区 | -31.2% | 648 |
| 13 | さいたま市北区 | -32.7% | 1430 |
| 14 | 新座市 | -32.8% | 1034 |
| 15 | 所沢市 | -33.2% | 2327 |
| 16 | 越谷市 | -34.6% | 2350 |
| 17 | さいたま市桜区 | -35.0% | 656 |
| 18 | 上尾市 | -36.0% | 665 |
| 19 | 草加市 | -36.3% | 1788 |
| 20 | ふじみ野市 | -40.1% | 624 |
| 21 | 八潮市 | -40.4% | 488 |
| 22 | 三郷市 | -43.4% | 1415 |
| 23 | 吉川市 | -44.3% | 334 |
| 24 | 蓮田市 | -46.3% | 100 |
| 25 | 川越市 | -46.5% | 1926 |
| 26 | さいたま市見沼区 | -48.4% | 676 |
| 27 | 入間郡三芳町 | -49.5% | 250 |
| 28 | さいたま市岩槻区 | -50.0% | 294 |
| 29 | さいたま市西区 | -50.2% | 325 |
| 30 | 桶川市 | -51.6% | 245 |
| 31 | 春日部市 | -53.6% | 866 |
| 32 | 鶴ケ島市 | -54.5% | 394 |
| 33 | 白岡市 | -54.9% | 174 |
| 34 | 久喜市 | -57.6% | 623 |
| 35 | 坂戸市 | -58.1% | 444 |
| 36 | 入間市 | -58.5% | 1063 |
| 37 | 飯能市 | -60.0% | 211 |
| 38 | 北足立郡伊奈町 | -61.2% | 74 |
| 39 | 鴻巣市 | -61.8% | 439 |
| 40 | 狭山市 | -61.9% | 738 |
| 41 | 熊谷市 | -65.7% | 402 |
| 42 | 北葛飾郡杉戸町 | -66.4% | 86 |
| 43 | 加須市 | -68.2% | 102 |
| 44 | 東松山市 | -69.6% | 224 |
| 45 | 幸手市 | -71.0% | 72 |
| 46 | 本庄市 | -71.1% | 62 |
| 47 | 北本市 | -71.7% | 233 |
| 48 | その他 | -72.0% | 49 |
| 49 | 深谷市 | -75.5% | 134 |
| 50 | 行田市 | -76.0% | 17 |
さいたま市大宮区のみ中央区との価格差が統計的に有意ではありません(n.s.)。それ以外はすべてp<0.01以下で有意です。
具体的に「3LDK・70m²・築15年」で試算すると:
浦和区と行田市を比べると、同じ広さのマンションで4.4倍の価格差がつきます。
埼玉県の価格推移:19年で2.4倍近く、東京に迫る伸び
同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、県内全域)。
2007年を100とすると、2026年は236.3。19年でほぼ2.4倍(+136.3%)に上昇しています。これは東京(+143.8%)に迫る水準で、大阪(+132.5%)・兵庫(+130.8%)・京都(+124.0%)・神奈川(+114.8%)・名古屋(+109.6%)をいずれも上回りました。東京への通勤圏として、都心の値上がりの波を強く受けていることがうかがえます。
データから分かったこと
さいたま市の「中心」は1つではありません。市役所がある中央区を基準にすると、旧浦和市の中心・浦和区が+6.4%で上回り、大宮駅を擁する大宮区もほぼ同水準(+1.5%、有意差なし)でした。2001年の合併で誕生したさいたま市は、浦和(行政・文教)・大宮(商業・交通)・中央区(市役所)という複数の中心を持つ都市であることが、価格データにも表れています。
県内価格差はシリーズの中でも大きめの4.4倍でした。川口市・戸田市のような東京隣接エリアは高値を維持する一方、県北部の熊谷市・行田市はぐっと手頃になります。
19年間の価格上昇率は、これまで見た大都市圏の中で東京に次ぐ高さでした。大阪・兵庫・京都・神奈川・愛知はいずれも埼玉より緩やかな伸びにとどまっており、東京への通勤利便性の高さが価格上昇にも直結している可能性があります。
FIRE目線で一言
都心へのアクセスを維持しつつ住宅費を抑えたいなら、所沢市・越谷市のような県南部の中核都市が現実的な選択肢です。さらに手頃さを求めるなら、熊谷市・行田市のような県北部も検討候補になります。
東京に迫る値上がり率は、資産性の観点では魅力的である一方、これから購入を検討する場合は「今が高値圏かどうか」を慎重に見極める必要がありそうです。
この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、中古マンション等・ファミリータイプ(2LDK〜5LDK)取引を対象に、面積・築年数・間取り・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。区市別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、42,688件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(62,292件)を重み付けなしで、それぞれ算出しました(決定係数R²はランキング0.77、価格推移0.74)。さいたま市は区単位でデータが記録されているため、区を1つの単位としてランキングしています。