埼玉県の住宅価格を調べてみた
FIRE移住研究 第18回

埼玉県の住宅価格を調べてみた
— 浦和区が、さいたま市の中心を上回る —

第18回は埼玉県です。さいたま市10区すべてが区単位で記録されており、東京・神奈川と並ぶ豊富なデータのため、マンションでランキングします。東京は分析済みなので、隣接する通勤圏を埋める記事です。

本記事は不動産情報ライブラリ(国土交通省)の公開データに基づく試算であり、投資助言や特定物件の推奨ではありません。想定条件を変えると結果は変わります。

結論

旧浦和市の中心であるさいたま市浦和区が、市役所を含む中央区を+6.4%上回るという結果になりました。大宮区も中央区とほぼ同水準(+1.5%、有意差なし)で、「市の中心=中央区」とは限らないことが分かります。19年間の価格上昇率は+136.3%と東京(+143.8%)に迫る伸びで、大阪・名古屋を上回りました。県内価格差は浦和区と行田市で4.4倍です。

埼玉県 市区町村・区別 価格ランキング(ファミリータイプ・マンション)

同じ面積・築年数・間取りの物件で揃えて比較した場合の、区市ごとの価格差です(直近10年・42,688件の実取引データを回帰分析しました。基準=さいたま市中央区)。

-80% -60% -40% -20% 0% +20% さいたま市浦和区 +6.4% n=2,306 さいたま市大宮区 +1.5%(n.s.) n=1,388 さいたま市中央区(基準) 0.0% n=1,178 さいたま市南区 -8.6% n=2,337 川口市 -16.9% n=5,070 所沢市 -33.2% n=2,327 越谷市 -34.6% n=2,350 川越市 -46.5% n=1,926 熊谷市 -65.7% n=402 行田市 -76.0% n=17
基準より高い(統計的に有意) 基準より安い(統計的に有意)
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順位区市価格水準n
1さいたま市浦和区+6.4%2306
2さいたま市大宮区+1.5%(n.s.)1388
3さいたま市中央区(基準)0.0%1178
4さいたま市南区-8.6%2337
5和光市-10.6%1073
6蕨市-11.2%624
7川口市-16.9%5070
8戸田市-18.0%1623
9志木市-22.2%927
10朝霞市-25.3%1563
11富士見市-30.7%617
12さいたま市緑区-31.2%648
13さいたま市北区-32.7%1430
14新座市-32.8%1034
15所沢市-33.2%2327
16越谷市-34.6%2350
17さいたま市桜区-35.0%656
18上尾市-36.0%665
19草加市-36.3%1788
20ふじみ野市-40.1%624
21八潮市-40.4%488
22三郷市-43.4%1415
23吉川市-44.3%334
24蓮田市-46.3%100
25川越市-46.5%1926
26さいたま市見沼区-48.4%676
27入間郡三芳町-49.5%250
28さいたま市岩槻区-50.0%294
29さいたま市西区-50.2%325
30桶川市-51.6%245
31春日部市-53.6%866
32鶴ケ島市-54.5%394
33白岡市-54.9%174
34久喜市-57.6%623
35坂戸市-58.1%444
36入間市-58.5%1063
37飯能市-60.0%211
38北足立郡伊奈町-61.2%74
39鴻巣市-61.8%439
40狭山市-61.9%738
41熊谷市-65.7%402
42北葛飾郡杉戸町-66.4%86
43加須市-68.2%102
44東松山市-69.6%224
45幸手市-71.0%72
46本庄市-71.1%62
47北本市-71.7%233
48その他-72.0%49
49深谷市-75.5%134
50行田市-76.0%17

さいたま市大宮区のみ中央区との価格差が統計的に有意ではありません(n.s.)。それ以外はすべてp<0.01以下で有意です。

具体的に「3LDK・70m²・築15年」で試算すると:

さいたま市浦和区
約6,746万円
川口市
約5,269万円
行田市
約1,524万円

浦和区と行田市を比べると、同じ広さのマンションで4.4倍の価格差がつきます。

埼玉県の価格推移:19年で2.4倍近く、東京に迫る伸び

同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、県内全域)。

100 150 200 250 300 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2026 100 236.3
2011年以降ほぼ全期間で統計的に有意な上昇(p<0.05)

2007年を100とすると、2026年は236.3。19年でほぼ2.4倍(+136.3%)に上昇しています。これは東京(+143.8%)に迫る水準で、大阪(+132.5%)・兵庫(+130.8%)・京都(+124.0%)・神奈川(+114.8%)・名古屋(+109.6%)をいずれも上回りました。東京への通勤圏として、都心の値上がりの波を強く受けていることがうかがえます。

データから分かったこと

さいたま市の「中心」は1つではありません。市役所がある中央区を基準にすると、旧浦和市の中心・浦和区が+6.4%で上回り、大宮駅を擁する大宮区もほぼ同水準(+1.5%、有意差なし)でした。2001年の合併で誕生したさいたま市は、浦和(行政・文教)・大宮(商業・交通)・中央区(市役所)という複数の中心を持つ都市であることが、価格データにも表れています。

県内価格差はシリーズの中でも大きめの4.4倍でした。川口市・戸田市のような東京隣接エリアは高値を維持する一方、県北部の熊谷市・行田市はぐっと手頃になります。

19年間の価格上昇率は、これまで見た大都市圏の中で東京に次ぐ高さでした。大阪・兵庫・京都・神奈川・愛知はいずれも埼玉より緩やかな伸びにとどまっており、東京への通勤利便性の高さが価格上昇にも直結している可能性があります。

FIRE目線で一言

POINT

都心へのアクセスを維持しつつ住宅費を抑えたいなら、所沢市・越谷市のような県南部の中核都市が現実的な選択肢です。さらに手頃さを求めるなら、熊谷市・行田市のような県北部も検討候補になります。

東京に迫る値上がり率は、資産性の観点では魅力的である一方、これから購入を検討する場合は「今が高値圏かどうか」を慎重に見極める必要がありそうです。

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この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、中古マンション等・ファミリータイプ(2LDK〜5LDK)取引を対象に、面積・築年数・間取り・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。区市別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、42,688件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(62,292件)を重み付けなしで、それぞれ算出しました(決定係数R²はランキング0.77、価格推移0.74)。さいたま市は区単位でデータが記録されているため、区を1つの単位としてランキングしています。

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