神奈川県の住宅価格を調べてみた
FIRE移住研究 第13回

神奈川県の住宅価格を調べてみた
— タワマンの街が伝統の高級住宅地を超えた —

第13回は神奈川県です。マンション取引が横浜市18区・川崎市7区・相模原市3区すべて区単位で記録されており、東京・大阪と並ぶ豊富さのため、マンションでランキングします。

本記事は不動産情報ライブラリ(国土交通省)の公開データに基づく試算であり、投資助言や特定物件の推奨ではありません。想定条件を変えると結果は変わります。

結論

タワーマンションの集積地として知られる川崎市中原区(武蔵小杉)と、横浜駅前の横浜市西区が、伝統的な高級住宅地である横浜市中区(みなとみらい・山手)を+13.3%上回るという結果になりました。最も手頃な中郡二宮町とは5.1倍の価格差でした。

神奈川県 市区町村・区別 価格ランキング(ファミリータイプ・マンション)

同じ面積・築年数・間取りの物件で揃えて比較した場合の、区市ごとの価格差です(直近10年・83,538件の実取引データを回帰分析しました。基準=横浜市中区)。

-80% -60% -40% -20% 0% +20% 川崎市中原区 +13.3% n=3,331 横浜市西区 +13.3% n=1,947 横浜市中区(基準) 0.0% n=2,502 横浜市港北区 -5.8% n=4,497 横浜市青葉区 -8.6% n=3,398 鎌倉市 -24.9% n=1,377 藤沢市 -28.9% n=3,600 横須賀市 -56.2% n=2,943 足柄下郡箱根町 -77.7% n=239 中郡二宮町 -77.8% n=31
基準より高い(統計的に有意) 基準より安い(統計的に有意)
全51地区のランキングを見る
順位区市価格水準n
1川崎市中原区+13.3%3331
2横浜市西区+13.3%1947
3横浜市中区(基準)0.0%2502
4川崎市幸区-3.9%2265
5横浜市港北区-5.8%4497
6横浜市神奈川区-8.4%2810
7三浦郡葉山町-8.5%184
8横浜市青葉区-8.6%3398
9川崎市高津区-13.5%2784
10逗子市-16.6%450
11横浜市都筑区-18.5%2786
12川崎市宮前区-21.1%3412
13川崎市川崎区-23.3%2553
14鎌倉市-24.9%1377
15横浜市鶴見区-25.1%3605
16川崎市多摩区-28.3%1729
17藤沢市-28.9%3600
18横浜市南区-29.5%1875
19川崎市麻生区-31.3%1841
20横浜市港南区-33.5%2077
21横浜市磯子区-34.3%2202
22横浜市戸塚区-35.5%3301
23横浜市緑区-35.6%1779
24横浜市栄区-35.9%1029
25横浜市泉区-36.3%652
26茅ヶ崎市-37.7%1828
27横浜市保土ケ谷区-38.8%1988
28相模原市南区-39.0%2299
29大和市-42.2%1855
30横浜市金沢区-43.3%2277
31横浜市瀬谷区-43.6%339
32相模原市緑区-43.8%752
33横浜市旭区-43.9%1739
34海老名市-44.4%1289
35中郡大磯町-51.2%141
36平塚市-52.1%1419
37相模原市中央区-53.2%1735
38小田原市-53.7%520
39三浦市-54.8%260
40座間市-56.0%1032
41横須賀市-56.2%2943
42厚木市-59.4%1337
43足柄上郡開成町-61.1%98
44伊勢原市-64.1%419
45高座郡寒川町-66.7%92
46綾瀬市-66.8%173
47その他-67.4%19
48足柄下郡湯河原町-68.8%119
49秦野市-71.0%609
50足柄下郡箱根町-77.7%239
51中郡二宮町-77.8%31

上記はすべて横浜市中区との比較で統計的に有意(p<0.001)です。

具体的に「3LDK・70m²・築15年」で試算すると:

川崎市中原区
約7,926万円
横須賀市
約3,063万円
中郡二宮町
約1,555万円

川崎市中原区と中郡二宮町を比べると、同じ広さのマンションで5.1倍の価格差がつきます。

神奈川県の価格推移:19年でほぼ2.1倍

同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、県内全域)。

100 150 200 250 300 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2026 100 214.8
2008年以降ほぼ全期間で統計的に有意な上昇(p<0.001)

2007年を100とすると、2026年は214.8。19年でほぼ2.1倍(+114.8%)に上昇しています。福岡(+209.7%)や大阪(後述)ほどではないものの、東京都(+143.8%)に迫る力強い伸びで、2021年以降は特に上昇ペースが加速しています。東京への通勤圏でありながら、独自の再開発(武蔵小杉のタワマン群、横浜駅前の再開発)が進むエリアが多いことが背景にあると考えられます。

データから分かったこと

川崎市中原区・横浜市西区が横浜市中区を上回ったのは、大規模再開発の影響と考えられます。中原区は武蔵小杉のタワーマンション群、西区は横浜駅前の再開発が続くエリアです。伝統的な高級住宅地(山手・元町を含む中区)よりも、新しく開発された駅前タワマン街の方が高い評価を受けているという、東京の武蔵小杉的な現象が神奈川県全体でも確認できました。

横須賀市・箱根町のような観光・軍港都市は、いずれも下位に沈みました。知名度の高さと住宅価格が連動しないのは、これまでの九州・長野でも見られた傾向と共通しています。

県内価格差5.1倍は、これまで見た大都市圏(東京8.4倍、京都3.9倍)の中間的な水準でした。神奈川県は都市部から郊外・観光地まで幅広い地域を含みますが、極端な過疎地が少ないため、価格差も比較的マイルドに収まっているようです。

FIRE目線で一言

POINT

東京都心への通勤利便性を保ちながら住宅費を抑えたいなら、横須賀市や県西部エリアが選択肢になります。ただし東京都心からの距離は延びるため、通勤時間とのバランスを検討する必要があります。

川崎市中原区・横浜市西区のようなタワマン集積地は、資産性の観点では魅力的ですが、既にかなり価格が上昇している点は踏まえておきたいところです。

神奈川県の物件、実際の適正価格は?全国住宅AI査定で試算できます。
今すぐ試算する →
次回は大阪府を見てみます。
FIRE移住研究⑭ を読む →

この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、中古マンション等・ファミリータイプ(2LDK〜5LDK)取引を対象に、面積・築年数・間取り・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。区市別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、83,538件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(県内全域、121,850件)を重み付けなしで、それぞれ算出しました(決定係数R²はランキング0.73、価格推移0.72)。横浜市・川崎市・相模原市は区単位でデータが記録されているため、区を1つの単位としてランキングしています。

← FIRE移住研究 記事一覧に戻る