長野県の住宅価格を調べてみた
FIRE移住研究 第10回

長野県の住宅価格を調べてみた
— 軽井沢町だけ、桁が違う —

第10回は九州を離れ、長野県です。マンションは長野市・松本市・軽井沢町の上位3市町で82%を占め、有効な対象自治体も8市町のみと薄いため、大分以降と同じく戸建てで見ていきます。長野県は77市町村と対象が非常に広く、これまでで最も細かいランキングになりました。

本記事は不動産情報ライブラリ(国土交通省)の公開データに基づく試算であり、投資助言や特定物件の推奨ではありません。想定条件を変えると結果は変わります。

結論

避暑地・別荘地として全国的に有名な北佐久郡軽井沢町が、県庁所在地の長野市より82%も高いという結果になりました。これはシリーズの中で「基準地との価格差」が最も大きい数値です。スキーリゾートの北安曇郡白馬村も+28.3%と続き、観光地としてのブランド力がそのまま価格に表れています。最も手頃な木曽郡大桑村とは9.7倍の価格差でした。

長野県 市区町村別 価格ランキング(戸建て)

同じ延床面積・土地面積・築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・14,145件の実取引データを回帰分析しました。基準=長野市)。

-80% -40% 0% +40% +80% 北佐久郡軽井沢町 +82.0% n=1,059 北安曇郡白馬村 +28.3% n=138 松本市 +8.2% n=1,579 長野市(基準) 0.0% n=2,383 安曇野市 -18.8% n=764 千曲市 -34.4% n=425 上田市 -37.1% n=1,083 飯田市 -41.8% n=513 伊那市 -44.4% n=390 大町市 -56.9% n=162 大桑村 -81.1% n=20
基準より高い(統計的に有意) 基準より安い(統計的に有意)
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順位市区町村価格水準n
1北佐久郡軽井沢町+82.0%1,059
2北安曇郡白馬村+28.3%138
3松本市+8.2%1,579
4長野市(基準)0.0%2,383
5諏訪郡原村-14.5%(n.s.)95
6塩尻市-15.8%458
7上高井郡小布施町-16.0%(n.s.)48
8南佐久郡南牧村-16.5%(n.s.)78
9北安曇郡松川村-17.4%(n.s.)67
10安曇野市-18.8%764
11須坂市-22.5%332
12北佐久郡御代田町-23.5%168
13諏訪郡下諏訪町-23.5%129
14茅野市-23.7%384
15岡谷市-29.5%213
16千曲市-34.4%425
17上伊那郡南箕輪村-36.8%107
18諏訪市-36.9%273
19上田市-37.1%1,083
20東筑摩郡山形村-37.2%36
21小諸市-39.3%299
22東御市-39.5%161
23佐久市-40.1%618
24上伊那郡宮田村-41.2%49
25下伊那郡豊丘村-41.7%15
26飯田市-41.8%513
27諏訪郡富士見町-43.9%158
28中野市-44.2%255
29伊那市-44.4%390
30駒ヶ根市-45.3%230
31下伊那郡高森町-47.4%47
32北安曇郡池田町-50.6%65
33上伊那郡箕輪町-53.3%154
34埴科郡坂城町-53.7%55
35下高井郡野沢温泉村-55.6%22
36下伊那郡喬木村-55.8%15
37上高井郡高山村-56.3%33
38大町市-56.9%162
39北佐久郡立科町-57.1%24
40下伊那郡松川町-58.7%54
41南佐久郡佐久穂町-58.9%43
42小県郡青木村-59.8%40
43上伊那郡飯島町-59.8%63
44南佐久郡川上村-60.4%15
45南佐久郡小海町-64.0%17
46東筑摩郡筑北村-64.1%21
47上水内郡信濃町-64.6%88
48上伊那郡辰野町-65.4%116
49飯山市-66.7%95
50小県郡長和町-66.8%44
51上水内郡飯綱町-67.8%90
52下伊那郡阿智村-68.5%35
53東筑摩郡朝日村-68.7%18
54下高井郡山ノ内町-75.0%52
55木曽郡木曽町-75.8%69
56その他(小規模自治体)-76.3%116
57下高井郡木島平村-78.2%31
58木曽郡南木曽町-78.5%19
59木曽郡上松町-80.5%15
60木曽郡大桑村-81.1%20

諏訪郡原村・上高井郡小布施町・南佐久郡南牧村・北安曇郡松川村は長野市との価格差が統計的に有意ではありません(n.s.)。それ以外はすべてp<0.05以下で有意です。長野県は77市町村と対象が広いため、全国の都道府県の中でも特に細かいランキングになりました。

具体的に「延床120m²・土地200m²・築15年」で試算すると:

北佐久郡軽井沢町
約6,174万円
松本市
約3,672万円
木曽郡大桑村
約640万円

軽井沢町と大桑村を比べると、同じ広さの家で9.7倍もの価格差がつきます。

長野県全体の価格推移(2007年〜2026年、19年間)

同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、県全体・戸建て)。

80 100 120 140 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2026 100 125.8 110.0
2023年以降、統計的に有意な上昇(2026年は例外)

2007年を100とすると、2022年頃までは91〜109の範囲で緩やかな動き。2023年以降に明確な上昇トレンドとなり、2025年には125.8まで上がりました。ただし2026年は上半期のみのデータで110.0まで落ち込み、統計的な有意差も消えています(サンプル数が少ない時期のデータのため)。直近の実績値としては2025年の125.8(19年で+25.8%)が実態に近いと考えられます。

データから分かったこと

軽井沢町の突出ぶりは、シリーズの中でも群を抜いていました。基準地(長野市)比+82.0%というのは、これまで見た「基準より高い」パターンの中でも圧倒的な数字です(2位は佐賀・鳥栖市の+9.9%、3位は熊本・菊陽町の-20.3%との比較で見ても)。明治時代からの避暑地としての歴史、新幹線でのアクセスの良さ、別荘需要と実需が混在する独特の市場構造が、価格に色濃く表れているようです。

スキーリゾートの白馬村も、軽井沢に次いで高い結果でした。海外からのインバウンド需要が旺盛なエリアとして知られており、国内外の投資・別荘需要が価格を押し上げている可能性があります。ただし、これも実需(定住目的)とは性格の異なる需要が混ざっている点には注意が必要です。

松本市が長野市を上回ったのも興味深い結果です。県庁所在地よりも、国宝・松本城や北アルプスへのアクセスを持つ第2の都市の方が高いという結果は、これまでの佐賀(鳥栖市)・長崎(時津町)とは違う形の「県庁所在地超え」でした。

FIRE目線で一言

POINT

軽井沢町・白馬村のようなブランド観光地は、実需の住宅としては割高になりがちです。純粋に住宅費を抑えたいなら、木曽郡エリアのような山間部の方が現実的です。ただし別荘・投資目的も視野に入れるなら、軽井沢町の値動きは資産性の観点で参考になりそうです。

長野県は77市町村と選択肢が非常に多く、松本市・上田市・佐久市など、それぞれ異なる生活圏を持つ中核都市が点在しています。「長野県のどこか」ではなく、通勤・通院・気候などの条件から具体的な市町村を絞り込むアプローチが特に重要な県と言えそうです。

長野県の物件、実際の適正価格は?全国住宅AI査定で試算できます。
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次回は京都府を見てみます。
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この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、戸建て(宅地(土地と建物))取引を対象に、延床面積・土地面積・築年数・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、14,145件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(23,213件)を重み付けなしで、それぞれ別の回帰モデルで算出しました(決定係数R²はそれぞれ0.55、0.53)。

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