長崎県の住宅価格を調べてみた
FIRE移住研究 第9回

長崎県の住宅価格を調べてみた
— ベッドタウンは高く、離島は手頃 —

第9回は長崎県です。佐賀県と同じく、マンション取引の73%が長崎市に集中しており(直近10年で2,102件中1,534件)、対象自治体も8市のみと薄いため、今回も戸建てで見ていきます。長崎県は五島市・対馬市・壱岐市・平戸市など離島・半島部の自治体が多いのも特徴です。

本記事は不動産情報ライブラリ(国土交通省)の公開データに基づく試算であり、投資助言や特定物件の推奨ではありません。想定条件を変えると結果は変わります。

結論

佐賀県に続き、ここでも県庁所在地の長崎市より、隣接する西彼杵郡時津町・長与町の方が高いという結果になりました。長崎市のベッドタウンとして発展してきたエリアです。一方、五島市・対馬市・壱岐市のような離島部は軒並み手頃で、最も安い北松浦郡小値賀町とは12.5倍の価格差がつき、これはシリーズ最大でした。

長崎県 市区町村別 価格ランキング(戸建て)

同じ延床面積・土地面積・築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・6,731件の実取引データを回帰分析しました。基準=長崎市)。

-80% -60% -40% -20% 0% +20% 西彼杵郡時津町 +28.2% n=183 諫早市 +10.5% n=726 長崎市(基準) 0.0% n=2,374 佐世保市 +0.5%(n.s.) n=1,393 島原市 -47.7% n=224 西海市 -52.1% n=81 対馬市 -61.1% n=86 五島市 -64.4% n=178 壱岐市 -74.4% n=61 北松浦郡小値賀町 -89.8% n=15
基準より高い(統計的に有意) 基準より安い(統計的に有意)
全21地区のランキングを見る
順位市区町村価格水準n
1西彼杵郡時津町+28.2%183
2西彼杵郡長与町+27.6%234
3諫早市+10.5%726
4大村市+1.9%(n.s.)588
5佐世保市+0.5%(n.s.)1,393
6長崎市(基準)0.0%2,374
7北松浦郡佐々町-12.2%(n.s.)48
8東彼杵郡波佐見町-28.6%62
9島原市-47.7%224
10東彼杵郡東彼杵町-49.9%20
11東彼杵郡川棚町-50.9%52
12西海市-52.1%81
13雲仙市-55.8%101
14対馬市-61.1%86
15五島市-64.4%178
16松浦市-65.4%48
17平戸市-69.9%71
18壱岐市-74.4%61
19南島原市-74.9%112
20南松浦郡新上五島町-76.2%74
21北松浦郡小値賀町-89.8%15

大村市・佐世保市・北松浦郡佐々町は長崎市との価格差が統計的に有意ではありません(n.s.)。それ以外はすべてp<0.05以下で有意です。北松浦郡小値賀町はn=15と少数のため参考値としてご覧ください。

具体的に「延床120m²・土地200m²・築15年」で試算すると:

西彼杵郡時津町
約2,997万円
長崎市
約2,338万円
北松浦郡小値賀町
約239万円

時津町と小値賀町を比べると、同じ広さの家で12.5倍もの価格差がつきます。これまでのシリーズで最も大きな開きです。

長崎県全体の価格推移(2007年〜2026年、19年間)

同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、県全体・戸建て)。

80 100 120 140 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2026 100 121.7 97.6
2021年以降、統計的に有意な上昇(2026年は例外)

2007年を100とすると、2015年頃までは89〜105の範囲で統計的に有意な変動はほぼなし。2021年以降、明確な上昇トレンドに転じ、2024年には121.7まで上がりました。ただし2026年は上半期のみのデータで97.6まで急落し、統計的な有意差も消えています(サンプル数が少ない時期のデータであることに注意が必要です)。直近の実績値としては2025年の115.2(19年で+15.2%)が実態に近いと考えられます。

データから分かったこと

時津町・長与町が長崎市を上回ったのは、佐賀の基山町・鳥栖市と似た「ベッドタウン効果」と考えられます。どちらも長崎市に隣接し、比較的平坦な土地が多く、通勤圏でありながら長崎市中心部より宅地開発がしやすいエリアです。2回連続で「県庁所在地よりベッドタウンが高い」という結果が出たのは、九州の住宅市場に共通する傾向なのかもしれません。

離島部の価格の低さは、これまでの鹿児島(奄美市)とは対照的でした。鹿児島では離島の奄美市が県内最高値でしたが、長崎の五島・対馬・壱岐・小値賀はいずれも下位に沈んでいます。同じ離島でも、観光・移住需要の強さや本土からの距離、交通アクセスの違いによって、価格への影響はまったく異なるようです。

長崎市と佐世保市は、統計的にはほぼ同水準でした。県内の二大都市が僅差で並ぶという点は、東京の港区・千代田区の関係と似た構図です。

FIRE目線で一言

POINT

離島暮らしに関心があるなら、五島市・対馬市・壱岐市は長崎市の3〜4割程度の価格で住宅が持てます。ただし本土からのアクセス(船便・空路)や医療・買い物の利便性は事前によく確認しておきたいところです。

通勤利便性を重視するなら時津町・長与町も選択肢ですが、価格は長崎市より高めです。「長崎市中心部からやや外れつつ価格も抑えたい」なら、諫早市あたりが現実的なバランス点になりそうです。

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次回は九州を離れ、長野県を見てみます。
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この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、戸建て(宅地(土地と建物))取引を対象に、延床面積・土地面積・築年数・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、6,731件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(10,195件)を重み付けなしで、それぞれ別の回帰モデルで算出しました(決定係数R²はそれぞれ0.54、0.54)。

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