佐賀県の住宅価格を調べてみた
FIRE移住研究 第8回

佐賀県の住宅価格を調べてみた
— 福岡都市圏に近いほど高い —

第8回は佐賀県です。大分・宮崎・鹿児島・熊本と同じく、マンション取引の74%が佐賀市に集中しており(直近10年で868件中643件)、対象自治体もわずか8市町と薄いため、今回も戸建てで見ていきます。

本記事は不動産情報ライブラリ(国土交通省)の公開データに基づく試算であり、投資助言や特定物件の推奨ではありません。想定条件を変えると結果は変わります。

結論

今回いちばんの発見は、県庁所在地の佐賀市より、福岡都市圏に近い三養基郡基山町・鳥栖市の方が高いという結果です。同じ広さ・築年数で揃えると、基山町が県内で最も価格水準が高く、鳥栖市がそれに続きます。最も手頃な藤津郡太良町とは4.4倍の価格差で、これはシリーズの中で最も小さい開きでした。

佐賀県 市区町村別 価格ランキング(戸建て)

同じ延床面積・土地面積・築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・4,877件の実取引データを回帰分析しました。基準=佐賀市)。

-80% -60% -40% -20% 0% +20% 三養基郡基山町 +23.7% n=177 鳥栖市 +9.9% n=705 佐賀市(基準) 0.0% n=1,589 唐津市 -24.0% n=608 伊万里市 -27.8% n=240 小城市 -33.1% n=287 鹿島市 -44.1% n=121 嬉野市 -48.9% n=118 多久市 -55.0% n=89 藤津郡太良町 -71.7% n=19
基準より高い(統計的に有意) 基準より安い(統計的に有意)
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順位市区町村価格水準n
1三養基郡基山町+23.7%177
2鳥栖市+9.9%705
3佐賀市(基準)0.0%1,589
4神埼郡吉野ヶ里町-23.9%104
5三養基郡上峰町-23.9%65
6唐津市-24.0%608
7武雄市-24.7%226
8伊万里市-27.8%240
9神埼市-31.0%114
10三養基郡みやき町-32.7%178
11小城市-33.1%287
12鹿島市-44.1%121
13西松浦郡有田町-47.1%84
14杵島郡江北町-48.7%45
15嬉野市-48.9%118
16杵島郡白石町-50.6%64
17その他(小規模自治体)-54.5%10
18多久市-55.0%89
19杵島郡大町町-60.1%34
20藤津郡太良町-71.7%19

上記はすべて佐賀市との比較で統計的に有意(p<0.001)です。

具体的に「延床120m²・土地200m²・築15年」で試算すると:

三養基郡基山町
約3,384万円
佐賀市
約2,737万円
藤津郡太良町
約773万円

基山町と太良町を比べると、同じ広さの家で4.4倍の価格差がつきます。これまでのシリーズで最も小さい価格差です。

佐賀県全体の価格推移(2007年〜2026年、19年間)

同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、県全体・戸建て)。

80 100 120 140 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2026 100 126.6
2021年以降、統計的に有意な上昇

2007年を100とすると、2015年頃までは93〜105の範囲で統計的に有意な変動はほぼなし。2021年以降、明確な上昇トレンドに転じ、2025年には128.2まで上がりました(2026年は上半期のみのデータで126.6)。19年間で+26.6%(年率換算で約1.2%)。宮崎(+26.8%)とほぼ同じペースで、大分(+12.1%)より上昇が明確、福岡(+209.7%)ほどではない、という中間的な結果でした。

データから分かったこと

基山町・鳥栖市が佐賀市を上回ったのは、福岡都市圏との近さが理由と考えられます。鳥栖市はJR鹿児島本線・長崎本線と九州自動車道・大分自動車道が交わる交通の要衝で、物流拠点として発展してきました。隣接する基山町も同様に福岡市中心部への通勤圏に入るエリアです。県庁所在地より、大都市に近い郊外の方が高くなるという、これまでの九州各県にはなかったパターンです。

価格差が「シリーズ最小」だったのは、佐賀県内の都市規模の差が比較的小さいためと考えられます。佐賀市・鳥栖市・唐津市など主要都市の人口規模が近く、突出した大都市も極端な過疎地も少ないため、価格のばらつきが他県より小さく収まったようです。

価格推移のペースは、宮崎とよく似た「横ばい→2020年代に入って上昇」というパターンでした。福岡のような一貫した右肩上がりではなく、直近5年に上昇が集中している点は、大分・宮崎と共通する九州の内陸県に見られる傾向かもしれません。

FIRE目線で一言

POINT

佐賀県は県内の価格差がシリーズ最小(4.4倍)なので、「どこに住んでも極端に損はしにくい」という意味では選びやすい県かもしれません。ただし鳥栖市・基山町のような割高なエリアもあるので、住宅費を最優先するなら藤津郡太良町のような南部エリアも選択肢に入ります。

福岡都市圏への通勤を視野に入れるなら、鳥栖市・基山町は新幹線・高速道路のアクセスの良さを踏まえると、価格が高めでも合理的な選択肢と言えそうです。

佐賀県の物件、実際の適正価格は?全国住宅AI査定で試算できます。
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次回は長崎県を見てみます。
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この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、戸建て(宅地(土地と建物))取引を対象に、延床面積・土地面積・築年数・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、4,877件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(7,530件)を重み付けなしで、それぞれ別の回帰モデルで算出しました(決定係数R²はそれぞれ0.60、0.59)。

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