FIRE移住研究 第6回

福岡県の住宅価格を調べてみた
— 19年でほぼ3.1倍、シリーズ最大の伸び —

第6回は福岡県です。大分・宮崎・鹿児島とは逆に、福岡はマンションデータが豊富(直近10年で28,055件)で、しかも福岡市・北九州市は区単位で記録されているため、沖縄と同じ「ファミリータイプ・中古マンション」の手法に戻して見ていきます。

本記事は不動産情報ライブラリ(国土交通省)の公開データに基づく試算であり、投資助言や特定物件の推奨ではありません。想定条件を変えると結果は変わります。

結論

福岡市中央区が圧倒的に高く、同じ福岡市内の区だけでも中央区は最も安い東区の1.75倍。北九州市の各区はさらに手頃な水準でした。また、19年間の価格上昇率はこのシリーズで最大(2007年比+209.7%、ほぼ3.1倍)という結果になりました。

福岡県 市区町村・区別 価格ランキング(ファミリータイプ・マンション)

同じ面積・築年数・間取りの物件で揃えて比較した場合の、市区町村・区ごとの価格差です(直近10年・28,055件の実取引データを回帰分析しました。基準=福岡市中央区)。

-80% -60% -40% -20% 0% 福岡市中央区(基準) 0.0% n=4,302 福岡市早良区 -11.5% n=2,285 福岡市博多区 -29.4% n=2,512 福岡市西区 -32.9% n=2,109 福岡市東区 -42.9% n=3,712 春日市 -44.0% n=952 筑紫野市 -53.9% n=283 久留米市 -60.1% n=1,306 北九州市小倉北区 -61.7% n=1,480 北九州市八幡西区 -68.7% n=1,217 直方市 -75.0% n=22
福岡市中央区より安い(統計的に有意、すべてp<0.001)
全36地区のランキングを見る
順位市区町村・区価格水準n
1福岡市中央区(基準)0.0%4,302
2福岡市早良区-11.5%2,285
3福岡市城南区-29.0%1,073
4福岡市博多区-29.4%2,512
5福岡市西区-32.9%2,109
6福岡市南区-34.8%2,846
7大野城市-42.7%256
8福岡市東区-42.9%3,712
9春日市-44.0%952
10粕屋郡新宮町-45.2%80
11粕屋郡粕屋町-49.1%129
12粕屋郡志免町-50.6%135
13那珂川市-51.5%87
14福津市-53.3%127
15筑紫野市-53.9%283
16太宰府市-55.1%63
17古賀市-56.8%91
18糸島市-57.5%242
19粕屋郡篠栗町-59.2%67
20久留米市-60.1%1,306
21北九州市小倉北区-61.7%1,480
22宗像市-62.7%85
23柳川市-62.8%22
24北九州市戸畑区-63.1%369
25北九州市小倉南区-63.6%572
26行橋市-64.1%29
27小郡市-64.7%58
28北九州市八幡東区-65.3%367
29北九州市門司区-66.6%504
30飯塚市-66.8%198
31京都郡苅田町-67.6%16
32北九州市八幡西区-68.7%1,217
33北九州市若松区-70.3%145
34その他(小規模自治体)-70.7%88
35大牟田市-73.3%226
36直方市-75.0%22

上記はすべて福岡市中央区との比較で統計的に有意(p<0.001)です。

具体的に「3LDK・70m²・築15年」で試算すると:

福岡市中央区
約5,938万円
北九州市小倉北区
約2,272万円
直方市
約1,481万円

福岡市中央区と直方市を比べると、同じ広さの家で4倍もの価格差がつきます。

福岡県の価格推移:シリーズ最大の伸び、しかも一貫した右肩上がり

同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100)。沖縄のような二段階の動きではなく、2010年以降ほぼ毎年連続で上昇しています。

100 150 200 250 300 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2026 100 309.7
2008年以降、ほぼ全期間で統計的に有意な上昇(p<0.01)

沖縄が「2016年頃まで横ばい→そこから急上昇」という二段階の動きだったのに対し、福岡は2010年以降ほぼ毎年連続で、統計的に有意な右肩上がりが続いています。急騰というより、長期にわたる安定した値上がりという方が近いかもしれません。

データから分かったこと

福岡市中央区の一極集中がはっきり出ました。天神・大名エリアを含む中央区が突出して高く、隣接する早良区(西新など)がそれに次ぎます。

福岡市と北九州市の差が明確です。福岡市の各区はすべて、北九州市のどの区よりも高い結果になりました。人口流入が続く福岡市と、人口減少傾向が続く北九州市という構図が、そのまま価格差として表れているようです。

間取りの効果は沖縄と同じ傾向でした。面積・地区・築年数を揃えると、3LDKは2LDKより7.2%、5LDKは27.7%低い価格水準です。同じ床面積なら、部屋数を絞った間取りの方が高く評価される傾向は、都市部のマンション市場に共通するのかもしれません。

FIRE目線で一言

POINT

福岡市中央区は九州で最も高い水準ですが、北九州市まで視野を広げれば政令指定都市でありながら相当手頃な価格で住宅が持てます。ただし北九州市は人口減少傾向が続いているエリアもあり、将来の資産性という点ではやや慎重に見た方がよさそうです。

逆に価格推移で見た通り、福岡県全体は九州の中でも特に値上がりが続いてきたエリアなので、住宅取得のタイミングによって損得の差が大きく出やすい点にも注意が必要です。

福岡県の物件、実際の適正価格は?全国住宅AI査定で試算できます。
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次回は熊本県を見てみます。
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この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、中古マンション等・ファミリータイプ(2LDK〜5LDK)取引を対象に、面積・築年数・間取り・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村・区別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、28,055件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(県全体、39,045件)を重み付けなしで、それぞれ算出しました(決定係数R²はランキング0.78、価格推移0.77)。福岡市・北九州市は区単位でデータが記録されているため、区を1つの単位としてランキングしています。

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