鹿児島県の住宅価格を調べてみた
FIRE移住研究 第5回

鹿児島県の住宅価格を調べてみた
— 戸建ては横ばい、マンションはほぼ倍増 —

第5回は鹿児島県です(予告していた長野県は次回以降に回します)。鹿児島もマンション取引の91%が鹿児島市に集中しており(直近10年で2,436件中2,223件)、大分・宮崎と同じく戸建て中心に見ていきます。ただし今回は価格推移だけ、中古マンションのデータも加えています。

本記事は不動産情報ライブラリ(国土交通省)の公開データに基づく試算であり、投資助言や特定物件の推奨ではありません。想定条件を変えると結果は変わります。

結論

一番の発見は、鹿児島市より奄美市の方が高いという結果です。同じ広さ・築年数で揃えると、離島の奄美市が県内で最も価格水準が高く、県庁所在地の鹿児島市がそれに次ぎます。また、戸建てとマンションで価格の動き方がまったく違うことも分かりました。

鹿児島県 市区町村別 価格ランキング(戸建て)

同じ延床面積・築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・10,179件の実取引データを回帰分析しました。基準=鹿児島市)。

-80% -60% -40% -20% 0% +20% 奄美市 +29.1% n=158 鹿児島市(基準) 0.0% n=4,534 姶良市 -31.7% n=765 霧島市 -44.8% n=1,052 薩摩川内市 -46.9% n=420 鹿屋市 -51.4% n=641 熊毛郡屋久島町 -63.0% n=87 指宿市 -63.3% n=213 枕崎市 -75.9% n=144 姶良郡湧水町 -83.3% n=38
基準より高い(統計的に有意) 基準より安い(統計的に有意)
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順位市区町村価格水準n
1奄美市+29.1%158
2鹿児島市(基準)0.0%4,534
3姶良市-31.7%765
4大島郡瀬戸内町-37.1%34
5大島郡龍郷町-37.8%29
6霧島市-44.8%1,052
7薩摩川内市-46.9%420
8西之表市-47.9%65
9日置市-48.1%308
10出水市-49.5%277
11鹿屋市-51.4%641
12大島郡徳之島町-52.2%57
13南さつま市-53.1%184
14いちき串木野市-54.5%124
15大島郡天城町-55.4%18
16大島郡喜界町-55.6%17
17志布志市-58.2%148
18垂水市-60.3%66
19熊毛郡屋久島町-63.0%87
20指宿市-63.3%213
21熊毛郡中種子町-66.5%27
22大島郡知名町-66.5%20
23南九州市-66.7%126
24曽於市-66.8%119
25阿久根市-68.1%93
26大島郡和泊町-68.8%28
27熊毛郡南種子町-70.3%21
28曽於郡大崎町-71.0%53
29肝属郡肝付町-71.7%66
30伊佐市-73.2%101
31薩摩郡さつま町-75.2%55
32枕崎市-75.9%144
33その他(小規模自治体)-78.5%48
34肝属郡南大隅町-80.7%19
35肝属郡錦江町-82.5%24
36姶良郡湧水町-83.3%38

上記はすべて鹿児島市との比較で統計的に有意(p<0.001)です。

具体的に「延床120m²・築15年」で試算すると:

奄美市
約3,189万円
鹿児島市
約2,471万円
姶良郡湧水町
約413万円

奄美市と湧水町を比べると、同じ広さの家で7.7倍もの価格差がつきます。

鹿児島県の価格推移:戸建てとマンションで真逆の動き

ここが今回一番おもしろかったところです。戸建て(県全体)はほぼ横ばいですが、鹿児島市の中古マンションだけ見ると、まったく違う動きをしていました(いずれも2007年=100)。

100 120 140 160 180 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2026 100 98.7 181.8
戸建て(県全体) — 19年間ほぼ横ばい 中古マンション(鹿児島市) — 2014年以降、有意な右肩上がり

戸建ては19年間を通じてほぼ横ばい(2025年時点でも+8.8%程度、2026年は上半期のみのデータで統計的にも有意差なし)なのに対し、鹿児島市の中古マンションは2014年以降ずっと統計的に有意な右肩上がりで、2026年には181.8とほぼ倍増しています(年率換算で約3.2%)。同じ県・同じ期間でも、戸建てとマンションでこれだけ値動きが違うのは、これまでの3県にはなかった発見でした。

データから分かったこと

奄美市の高さは、離島の物件供給が限られていることの表れかもしれません。離島は新規の宅地開発が本土ほど進みにくく、限られた物件を巡る競争が価格を押し上げている可能性があります。

指宿市・屋久島町のような有名観光地でも、大分の湯布院・宮崎の高千穂と同様、大きな価格プレミアムは見られませんでした。知名度と住宅価格が連動しないのは、九州のリゾート地に共通する傾向のようです。

戸建てとマンションの値動きの違いは、鹿児島市中心部への人口・需要の集まり方を反映していそうです。マンション需要が都市中心部に集中し価格を押し上げる一方、戸建てが主な選択肢になる郊外・地方部は横ばいが続いている、という構図が透けて見えます。

FIRE目線で一言

POINT

戸建てで住宅費を抑えたいなら、姶良郡湧水町のような地方部は鹿児島市の5分の1以下で家が持てます。ただし奄美市のように、離島は価格が必ずしも安くない点には注意が必要です。

また、もし将来的にマンション所有(あるいは売却)も選択肢に入れるなら、鹿児島市中心部のマンション市場が長期的に値上がり傾向にあるという今回の発見は、資産性の観点で参考になりそうです。

鹿児島県の物件、実際の適正価格は?全国住宅AI査定で試算できます。
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次回は同じ九州から福岡県を見てみます。
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この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、戸建て(宅地(土地と建物))・中古マンション等の取引を対象に、面積・築年数・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは戸建て・直近10年(2016年〜2026年、10,179件)を直近重視の重み付きで、価格推移は戸建て・2007年以降19年分(県全体、16,129件)とマンション・2007年以降19年分(鹿児島市限定、2,842件、マンション取引の93%が鹿児島市に集中しているため)を、それぞれ重み付けなしで算出しました(決定係数R²は戸建てランキング0.61、戸建て推移0.58、マンション推移0.89)。

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