FIRE移住研究 第4回

宮崎県の住宅価格を調べてみた
— 宮崎市とえびの市で価格5.6倍 —

第4回は宮崎県です。前回の大分と同じく、まずマンションと戸建てのデータ量を確認しました。宮崎もマンション取引の92%が宮崎市に集中しており、今回も戸建てで見ていきます。

本記事は不動産情報ライブラリ(国土交通省)の公開データに基づく試算であり、投資助言や特定物件の推奨ではありません。想定条件を変えると結果は変わります。

結論

宮崎市が突出して高く、そこから海沿いの都市、内陸の都市、山間部の順に段階的に価格が下がっていきます。これまで見た沖縄・大分の中で、都市と地方の価格差が最も大きい県でした。えびの市は宮崎市のわずか2割弱です。

宮崎県 市区町村別 価格ランキング(戸建て)

同じ延床面積・土地面積・築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・7,282件の実取引データを回帰分析しました。基準=宮崎市)。

-80% -60% -40% -20% 0% 宮崎市(基準) 0.0% n=3,251 日向市 -27.2% n=479 延岡市 -31.9% n=875 都城市 -43.8% n=1,018 西都市 -52.8% n=140 西臼杵郡高千穂町 -62.3% n=47 日南市 -63.3% n=305 小林市 -67.1% n=207 串間市 -73.7% n=63 えびの市 -82.1% n=84
宮崎市より安い(統計的に有意、すべてp<0.001)
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順位市区町村価格水準n
1宮崎市(基準)0.0%3,251
2日向市-27.2%479
3延岡市-31.9%875
4東臼杵郡門川町-38.0%135
5都城市-43.8%1,018
6東諸県郡国富町-44.3%105
7北諸県郡三股町-46.5%165
8児湯郡高鍋町-51.4%161
9西都市-52.8%140
10東諸県郡綾町-57.0%26
11児湯郡新富町-59.3%56
12西臼杵郡高千穂町-62.3%47
13日南市-63.3%305
14児湯郡都農町-65.2%55
15小林市-67.1%207
16西諸県郡高原町-69.2%27
17串間市-73.7%63
18児湯郡川南町-77.5%39
19その他(小規模自治体)-80.3%44
20えびの市-82.1%84

上記はすべて宮崎市との比較で統計的に有意(p<0.001)です。

具体的に「延床120m²・土地200m²・築15年」で試算すると:

宮崎市
約3,064万円
都城市
約1,721万円
えびの市
約548万円

宮崎市とえびの市を比べると、同じ広さの家で5.6倍もの価格差がつきます。

宮崎県全体の価格推移(2007年〜2026年、19年間)

同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100)。大分と似て、長い横ばいのあとに直近だけ上昇するパターンです。

90 100 110 120 130 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2026 100 126.8
2008〜2020年は統計的に有意な変動なし(横ばい)、2021年以降は有意な上昇

2007年を100とすると、2008〜2020年までは95〜113の範囲で統計的に有意な変動はほぼなしでした。2021年以降、明確な上昇トレンドに転じ、2026年は126.8まで上がっています(2026年は上半期のみのデータ)。19年間で+26.8%(年率換算で約1.3%)。沖縄(+196.8%)・大分(+12.1%)と並べると、九州3県でもコロナ後の上昇の勢いにはっきり差があることがわかります。

データから分かったこと

海沿いの都市の方が、内陸の都市より高く出ました。日向市・延岡市(いずれも海沿い)が-27〜32%なのに対し、都城市(内陸)は-43.8%。人口規模だけで見ると都城市の方が大きいのですが、価格は海沿いの2市の方が高いという結果になりました。

観光地だから高い、とは限りません。高千穂町は神話の里・渓谷観光で全国的に知名度のある観光地ですが、価格水準は-62.3%と県内では中位より下でした。前回の大分・湯布院(大分市比-39.6%)ほどの「観光地プレミアム」は見られず、知名度と住宅価格は必ずしも連動しないようです。

都市と地方の価格差は、これまでで最大でした。最も高い市区町村と最も安い市区町村の価格差を倍率で比べると、沖縄(北谷町とうるま市で約1.8倍)、大分(大分市と国東市で約4.0倍)に対し、宮崎(宮崎市とえびの市で約5.6倍)が最も差が大きい結果になりました。

FIRE目線で一言

POINT

えびの市クラスまで視野に入れれば、宮崎市の2割弱の価格で住宅が持てます。これは九州でこれまで見た中で最も大きい価格差で、住宅コストを抑えたい人にとっては魅力的な選択肢です。

ただし山間部・県境エリアは通院や買い物などの生活利便性、車の必要性が高まる点は前提として考えた方がよさそうです。また高千穂町の例が示すように、「観光地として有名=住宅価格が高い」とは限らないので、知名度だけで住宅費を判断しない方が良さそうです。

宮崎県の物件、実際の適正価格は?全国住宅AI査定で試算できます。
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次回は同じ九州から鹿児島県を見てみます。
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この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、戸建て(宅地(土地と建物))取引を対象に、延床面積・土地面積・築年数・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、7,282件)を直近重視の重み付きで、価格推移(2007年〜2026年)は2007年以降19年分(12,020件)を重み付けなしで、それぞれ別の回帰モデルで算出しました(決定係数R²はそれぞれ0.57、0.56)。中古マンション等は宮崎市に取引の9割以上が集中しており市区町村比較に適さないため、大分編と同様に戸建てを分析対象としています。

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