結論
港区と千代田区が突出して高く、統計的にはほぼ同水準でした。最も手頃な青梅市とは8.4倍の価格差があり、これは23区・多摩地域を含めた東京都内だけの比較です。また、19年間の価格推移で見ると、東京都のマンション価格は2007年比で+143.8%(ほぼ2.4倍)に上昇しており、特に2020年以降の伸びが際立っています。
東京都 市区町村・区別 価格ランキング(ファミリータイプ・マンション)
同じ面積・築年数・間取りの物件で揃えて比較した場合の、区市ごとの価格差です(直近10年・135,019件の実取引データを回帰分析しました。基準=港区)。
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| 順位 | 区市 | 価格水準 | n |
|---|---|---|---|
| 1 | 千代田区 | +1.8% | 1,087 |
| 2 | 港区(基準) | 0.0% | 5,542 |
| 3 | 渋谷区 | -8.2% | 2,788 |
| 4 | 目黒区 | -26.1% | 2,792 |
| 5 | 新宿区 | -30.0% | 4,095 |
| 6 | 文京区 | -30.3% | 3,203 |
| 7 | 中央区 | -30.6% | 5,159 |
| 8 | 品川区 | -36.2% | 5,486 |
| 9 | 豊島区 | -39.9% | 2,554 |
| 10 | 世田谷区 | -44.7% | 9,024 |
| 11 | 中野区 | -46.4% | 2,537 |
| 12 | 杉並区 | -48.0% | 3,894 |
| 13 | 台東区 | -49.0% | 2,700 |
| 14 | 武蔵野市 | -49.5% | 1,334 |
| 15 | 江東区 | -51.4% | 11,740 |
| 16 | 大田区 | -55.7% | 6,496 |
| 17 | 墨田区 | -55.8% | 3,306 |
| 18 | 三鷹市 | -59.1% | 1,417 |
| 19 | 北区 | -59.6% | 3,121 |
| 20 | 練馬区 | -61.3% | 5,425 |
| 21 | 荒川区 | -61.3% | 2,657 |
| 22 | 小金井市 | -61.6% | 879 |
| 23 | 狛江市 | -62.9% | 652 |
| 24 | 板橋区 | -63.2% | 5,749 |
| 25 | 国分寺市 | -65.3% | 945 |
| 26 | 調布市 | -65.6% | 2,404 |
| 27 | 国立市 | -67.1% | 664 |
| 28 | 江戸川区 | -68.0% | 5,238 |
| 29 | 葛飾区 | -70.1% | 3,824 |
| 30 | 府中市 | -70.9% | 2,629 |
| 31 | 足立区 | -72.2% | 5,841 |
| 32 | 西東京市 | -72.4% | 1,593 |
| 33 | 立川市 | -74.0% | 1,316 |
| 34 | 小平市 | -76.0% | 1,117 |
| 35 | 稲城市 | -78.1% | 867 |
| 36 | 町田市 | -78.4% | 2,339 |
| 37 | 多摩市 | -78.6% | 2,389 |
| 38 | 東大和市 | -79.0% | 529 |
| 39 | 日野市 | -79.1% | 1,077 |
| 40 | 東村山市 | -79.1% | 1,066 |
| 41 | 清瀬市 | -79.8% | 378 |
| 42 | 東久留米市 | -79.9% | 710 |
| 43 | 昭島市 | -80.1% | 886 |
| 44 | 八王子市 | -80.7% | 4,289 |
| 45 | 福生市 | -83.9% | 230 |
| 46 | あきる野市 | -84.2% | 22 |
| 47 | 羽村市 | -86.0% | 203 |
| 48 | 武蔵村山市 | -87.3% | 50 |
| 49 | 青梅市 | -88.1% | 772 |
| 50 | その他(小規模自治体) | -91.0% | 4 |
港区との価格差が統計的に有意なのは渋谷区以下です(千代田区は僅かに港区を上回りますが有意差なし、すべてp<0.001)。最下位の「その他」はn=4と極端に少数のため参考値としてご覧ください。
具体的に「3LDK・70m²・築15年」で試算すると:
港区と最も手頃な青梅市(試算約2,379万円)を比べると、同じ広さのマンションで8.4倍もの価格差がつきます。これは東京都内だけの比較です。
東京都の価格推移:19年でほぼ2.4倍、しかも近年ほど加速
同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100、都内全域)。
2007年を100とすると、2026年は243.8。19年でほぼ2.4倍(+143.8%)に上昇しています。特に2020年以降の伸びが際立っており、2020年の148.3から2026年の243.8まで、わずか6年で+64.4%という急ピッチな上昇でした。これまで見てきた沖縄(+196.8%)ほどではないものの、大分(+12.1%)や宮崎(+26.8%)とは比較にならないペースで、しかも19年間ほぼ一貫して右肩上がりという点が特徴的です。
データから分かったこと
港区と千代田区は、統計的にはほぼ同水準でした。千代田区は港区よりわずかに高い係数が出ましたが、統計的に有意な差ではありません。皇居周辺の希少な住宅地である千代田区と、六本木・麻布などの高級住宅街を抱える港区が、東京の住宅価格の頂点を分け合っている形です。
23区の中だけでも4倍以上の価格差がありました。渋谷区(港区比-8.2%)のような都心区に対し、足立区(-72.2%)のような周辺区は大きく手頃です。同じ「23区内」というくくりでも、実際の価格差はかなり大きいことが分かります。
多摩地域は23区よりさらに手頃で、選択肢の幅が広がります。八王子市・青梅市など多摩地域の主要都市は、23区の周辺区よりもさらに価格水準が下がります。ただし都心への通勤時間とのトレードオフがある点は、他地域への移住と同様に考慮が必要です。
FIRE目線で一言
東京都内でも、港区・千代田区のような都心部と多摩地域とでは8倍前後の価格差があります。「東京か地方か」だけでなく、「東京のどこか」という選択でも住宅費は大きく変わります。
次回以降の「FIRE移住研究」では、この東京の価格水準(たとえば港区の3LDK・70m²・築15年で約2億円)を一つの目安として、各地域の住宅価格を見ていきます。地方移住でどれだけ住宅費を圧縮できるのか、具体的な倍率で比較していく予定です。
この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、中古マンション等・ファミリータイプ(2LDK〜5LDK)取引を対象に、面積・築年数・間取り・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。区市別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、135,019件)を直近重視の重み付きで、価格推移は2007年以降19年分(都内全域、187,087件)を重み付けなしで、それぞれ算出しました(決定係数R²はランキング0.83、価格推移0.82)。