結論
沖縄でファミリー向け中古マンションを買うなら、市区町村を選ぶだけで価格が3〜4割変わります。北谷町・那覇市が突出して高く、うるま市が最も手頃、という結果になりました。
沖縄県 市区町村別 価格ランキング
同じ面積・同じ築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・2,822件の実取引データを回帰分析しました。基準=データが少ない地域の寄せ集め)。
具体的に「3LDK・70m²・築15年」で試算すると:
同じ広さ・同じ築年数でも、選ぶ市区町村ひとつで1,700万円以上の差がつきます。
沖縄県全体の価格推移(2007年〜2026年、19年間)
市区町村や間取りの違いを取り除き、「同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったか」を指数化しました(2007年=100)。
2007年を100とすると、2026年は296.8。19年でほぼ3倍(+196.8%)に上昇していました(年率換算で約5.9%)。一本調子の上昇ではなく、2012年には一時的な小幅の下落があり、2020〜2021年のコロナ禍では明確な足踏み(ほぼ横ばい)が見られます。その後2022年以降は再び上昇ペースが加速しました。
データから分かったこと
一番の発見は北谷町の突出です。米軍基地とアメリカンビレッジを抱えるこのエリアは外国人・富裕層向けの高級コンドミニアムが多く、県内で最も価格水準が高くなっていました。県庁所在地の那覇市がそれに僅差で続きます。
中位グループは、数字ほど差がありません。石垣市・宜野湾市・豊見城市・浦添市は数字上は順位がついているものの、統計的には明確な差が確認できませんでした。実質的には同じ価格帯と考えた方がよさそうです。
もう一つ興味深いのが、部屋数が多いほど、同じ広さなら価格が下がるという結果です。面積・地区・築年数を揃えると、3LDKは2LDKより8.7%、5LDKは21.8%低い価格水準になりました。同じ70m²でも、部屋を細かく分けるより、部屋数を抑えてゆったり使う間取りの方が高く評価される傾向があるようです。
FIRE目線で一言
住宅価格だけ見れば、うるま市・名護市はかなり魅力的です。ただし石垣市は投資用リゾートマンションの比率が高く、実需向けの相場とは性格が異なる可能性がある点は割り引いて見た方がよさそうです。
また車社会の沖縄では、住宅価格が安いエリアほど車の維持費などで生活コストが相殺される可能性もあります。移住先としての本当の"お得さ"は、住宅価格だけでなく生活費全体・そしてFIREまでに必要な資産額とセットで見る必要がありそうです。今後、生活費や医療、交通なども加えて、FIRE後の総コストまで比較してみたいと思います。
この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、中古マンション等・ファミリータイプ(2LDK〜5LDK)取引を対象に、面積・築年数・間取り・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、2,822件)を直近重視の重み付きで、価格推移(2007年〜2026年)は市場公開データが安定して取得できる2007年以降19年分(3,660件)を重み付けなしで、それぞれ別の回帰モデルで算出しました(決定係数R²はそれぞれ0.72、0.79)。生データの平均値をそのまま比べる方法とは異なり、「同じ条件の物件ならどちらが高いか」を公平に比較しています。