FIRE移住研究 第3回

大分県の住宅価格を調べてみた
— 都市部・観光地・山間部で価格の階段 —

第3回は、同じ九州から大分県です。前回の沖縄は中古マンションで見ましたが、大分は少し勝手が違いました。

本記事は不動産情報ライブラリ(国土交通省)の公開データに基づく試算であり、投資助言や特定物件の推奨ではありません。想定条件を変えると結果は変わります。

結論

大分市が突出して高く、別府市がそれに続きます。湯布院を含む由布市は大分市よりだいぶ手頃で、山間部に行くほどさらに価格は下がる、という典型的な「都市部→観光地→山間部」の価格勾配が見えました。

まず気づいたこと:大分はマンションではなく戸建てで見る必要がある

沖縄・浦安では「中古マンション等」を対象にしましたが、大分県の湯布院(由布市)で同じように調べようとしたところ、中古マンションの取引がわずか8件しかありませんでした。一方、戸建て(土地+建物)は430件。大分の温泉リゾートエリアは、マンションではなく戸建て・別荘が主戦場のようです。そこで今回は対象を戸建てに切り替えました。

大分県 市区町村別 価格ランキング(戸建て)

同じ延床面積・土地面積・築年数の物件で揃えて比較した場合の、市区町村ごとの価格差です(直近10年・7,261件の実取引データを回帰分析しました。基準=大分市)。

-80% -60% -40% -20% 0% 大分市(基準) 0.0% n=3,736 別府市 -7.5% n=968 由布市(湯布院含む) -39.6% n=343 速見郡日出町 -42.5% n=153 日田市 -47.6% n=282 中津市 -53.1% n=427 佐伯市 -63.5% n=352 玖珠郡九重町 -67.7% n=86 豊後大野市 -72.8% n=104 国東市 -74.7% n=111 (基準外・その他) -86.1% n=7
大分市より安い(統計的に有意、すべてp<0.01)
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順位市区町村価格水準n
1大分市(基準)0.0%3,736
2別府市-7.5%968
3由布市(湯布院含む)-39.6%343
4速見郡日出町-42.5%153
5日田市-47.6%282
6臼杵市-48.1%143
7中津市-53.1%427
8杵築市-61.2%101
9玖珠郡玖珠町-62.6%55
10津久見市-63.4%46
11佐伯市-63.5%352
12玖珠郡九重町-67.7%86
13宇佐市-70.5%187
14豊後高田市-72.1%86
15竹田市-72.6%74
16豊後大野市-72.8%104
17国東市-74.7%111
18その他(小規模自治体)-86.1%7

上記はすべて大分市との比較で統計的に有意(p<0.01)です。最下位の「その他」はn=7と少数のため参考値としてご覧ください。

具体的に「延床120m²・土地200m²・築15年」で試算すると:

大分市
約2,919万円
由布市(湯布院)
約1,764万円
玖珠郡九重町
約943万円

同じ広さの家でも、大分市と山間部の九重町では3倍以上の価格差がつきます。

大分県全体の価格推移(2007年〜2026年、19年間)

同じ条件の物件なら何年にどれだけの価格だったかを指数化しました(2007年=100)。沖縄とは対照的に、長い横ばいのあとに直近だけ上昇するパターンです。

90 100 110 120 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2026 100 2024年がピーク(120.1) 112.1
2008〜2021年は統計的に有意な変動なし(横ばい)、2022〜2025年のみ有意

2007年を100とすると、2008〜2021年までの14年間は92〜106の範囲でほぼ横ばいでした。上昇が始まったのは2022年からで、2024年には120.1まで上がりましたが、2026年は112.1とやや落ち着いています(2026年は上半期のみのデータ)。沖縄が19年でほぼ3倍になったのに対し、大分は同じ期間でわずか12.1%の上昇、しかもその大半は直近4年に集中しています。

データから分かったこと

別府市は大分市とほぼ同水準です。-7.5%と差はあるものの、県内では大分市に次ぐ高さを維持しています。温泉地としての独立した需要が、県庁所在地に匹敵する価格を支えているようです。

由布市(湯布院)は大分市より4割安いものの、県内の他の地方部と比べると高めです。九重町(-67.7%)や国東市(-74.7%)のような、より奥まったエリアと比べると、由布市はまだ「湯布院ブランド」のプレミアムが乗っていると読めます。

都市部→観光地→山間部という価格の階段が、想像以上にはっきり出ました。大分市を100とすると、別府市92、由布市60、九重町32、国東市25、という具合です。

FIRE目線で一言

POINT

由布市であれば、大分市の6割程度の価格で住宅が持てます。温泉地としての生活の質を保ちながら住宅費を抑えられる、移住先としてはバランスの良い選択肢に見えます。

ただし観光地は別荘・投資用の需要と実需(定住)が混在しやすく、取引の性格が実需中心のエリアとは異なる可能性がある点は留意が必要です。国東市のような山間部はさらに割安ですが、通院・買い物などの生活利便性は別途確認した方がよさそうです。

次回以降も、引き続きさまざまな地域を見ていく予定です。

この記事のデータについて
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実取引データのうち、戸建て(宅地(土地と建物))取引を対象に、延床面積・土地面積・築年数・取引時期などの条件を揃えたうえで統計的に推定しています。市区町村別ランキングは直近10年(2016年〜2026年、7,261件)を直近重視の重み付きで、価格推移(2007年〜2026年)は2007年以降19年分(11,595件)を重み付けなしで、それぞれ別の回帰モデルで算出しました(決定係数R²はそれぞれ0.62、0.60)。マンションと異なり、戸建ての「面積」は土地面積(登記簿の敷地面積)を指すため、建物の広さは別項目の延床面積を使用しています。

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